SACD ハイブリッド

これぞ 20世紀演奏・録音史上、世界遺産級。

デル・モナコとカラヤンがドラマティックに描き出す空前の「オテロ」。   

 
ヴェルディ:歌劇「オテロ」 (全曲)

マリオ・デル・モナコ( T )、

レナータ・テバルディ( S )、

アルド・プロッティ( Br )

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ウィーン国立歌劇場合唱団

価格:7,944円(税込)
ESSG-90186/87[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



■「帝王カラヤン」が確立した時代  

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン( 1908 〜 1989 )は、

レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、

残された録音も SP 時代 からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。

 

その中でカラヤンが一つの頂点を迎えたのは、

1955 年にベルリン・ フィルの常任指揮者、翌 1956 年にザルツブルク音楽祭

およびウィーン国立歌劇場の芸術監督に就任、

またミラノ・スカラ座との提携上演を打ち出してイタリアでの地盤も強化するなど、

文字通りヨーロッパ・クラシック音楽界の「帝王」と目されていた時期でしょう。

 

さらに録音面でも、 1950 年代初頭から継続しているロンドンでの

フィルハーモニア管弦楽団との EMI への録音に加えて、

1959 年からはベルリン・フィルとはドイツ・グラモフォ ンへの、

ウィーン・フィルとはデッカへの録音がスタートし、

ちょうどステレオ録音が導入されて活気付いていたレコード市場を席巻する形になりました。

 

一人の指揮者がここまでの音楽的ポストとレーベル契約を手中にするのは

カラヤン以前にもカラヤン以後にも皆無で、

文字通り 20 世紀クラシック音楽界で 空前絶後の存在でした。

 




不滅の価値を持つ「オテロ」全曲盤     

 

そうした中でも、名プロデューサー、ジョン・カルショウとのコラボレーションによって、

ウィーン・フィルと 進められたデッカへの録音では、スタンダードなシンフォニーのみならず、

「ツァラトゥストラはかく語り き」や「惑星」のパイオニア的録音も含む多様なオーケストラ曲のほか、

 1959 年の「アイーダ」から 1963 年の「カルメン」まで、

綺羅星のような豪華キャストをそろえた 5 つのオペラ全曲盤が制作されました。

 

いずれもオペラ録音史にその名を残す名盤ばかりですが、

その中でも 1961 年録音のヴェルディ「オテ ロ」は、

不世出の名歌手マリオ・デル・モナコ( 1915 〜 1982 )との共演の記録として、

不滅の価値を持つ 全曲盤です。

 

 





カラヤンの愛奏曲     

 

カラヤンがウィーン国立歌劇場で初めて「オテロ」を取り上げたのは 1957 年 4 月のこと。

歌手もデル・ モナコのほか、リザネク、ザンピエーリ、コルツァーニら豪華キャストを揃え、

指揮のみならず演出も自らが手掛けた新演出で、大きな成功を収めました。

 

この後カラヤンはウィーン在任中にこのプロダクションを 19 回も指揮しており、

「ワルキューレ」( 25 回)に次いで上演回数の多いオペラ(「アイーダ」や「トス カ」よりも多い)であり、

彼がいかにこのオペラを愛していたかの証左となりましょう。

 

その 4 年後に録音されたこの録音でも、その熱愛ぶりは伝わってきます。

アリアや二重唱などのナンバー制を廃し、

ワーグナーの指導動機を思わせるような「オテロ」の緊密な音楽構成は、

ワーグナーやシュトラウスを得意とす るカラヤンにもアプローチしやすい作品であり、

ここでもウィーン・フィルの暗く濃密な響きを活かし、千変万化する登場人物の心理の動きに寄り添い、

緊張感に満ちた音のドラマを描きあげています。

 

 




デル・モナコ極め付きの絶唱     

 

歌手陣では何といっても、

「オテロを歌わせたら モナコの前にモナコなく モナコの後にモナコなし」 と称賛され、

「オテロ」の代名詞的存在だったデル・モナコの絶唱にまず は指を屈するべきでしょう。

 

 オペラ歌手として活動した 22 年間で 427 回も

オテロを歌ったほど自らの当たり役にしていたデル・モナコの最円熟期の歌唱が、

鮮明なステレオ録音と理想的な共演者によって残されたのは、

 20 世紀演奏・録音史上、世界遺産級の意味合いを持つことだといえましょう。

凛然と輝くトランペットに譬えられた強靭な声は、

難役オテロのド ラマと苦悩を余すところなく描き出しています。

 

第 3 幕の「神よ、あなたは」や第 4 幕の「オテロの死」における毅然たる歌唱にまじる涙声は、

デル・モナコのもう一つの当たり役である「道化師」の「衣装をつけろ」でのそれと双璧で、

今でも聴く者の心を揺さぶります。

 

レナータ・タバルディ ( 1922 〜 2004 )の清純の極みともいうべき デズデーモナ 、

降板したバス ティアニーニの代役として参加した

アルド・プロッティ( 1920 〜 1995 )の小悪党的なイアーゴなど、

共演者も万全である点も、この全曲盤の特徴といえるでしょう。

 

 




最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現      

 

録音はデッカのウィーンでの拠点だったゾフィエンザールで行われました。

響きが多いため必ずしも 録音向きではないムジークフェラインザールとは異なり、

フル・オー ケストラを音が混濁せず細部まで明晰な収録が可能な

ゾフィエンザールはデッカのステレオ録音の代名詞であり、

ショルティの「指環」をはじめとする今や伝説的な名録音が

ジョン・カルショウやゴードン・パリーによって続々と生み出されました。

 

この「オテロ」でも、デッカのステレオによるオペラ録音に特徴的な、

オーケストラをスケールの大きな響きで捉えつつ、各パートの明晰さを保ちながら、

歌手の声を包み込むようなバランス作りが実現しています。

 

また同じくデッカのオペラ録音の代名詞でもある、

ステージ上演の臨場感を録音に持ち込む SONIC STAGE の手法が極限まで活用され、

各場面での登場人物の位置関係や左右の動き、効果音(第 1 幕冒頭の嵐や大砲)、

遠近感(第 3 幕の舞台転換の時のオフステージのバンダやコーラス) など、

ステレオ効果を活かした演出がされているのも大きな特徴といえるでしょう。

 

名盤・名録音ゆえに デジタルの初期からCD化され、

Decca Legend の 24bit/96kHz リマスタリング盤もありますが、

今回は それ以来の、そして初めての DSD リマスタリン グとなります。

今回の Super Audio CD ハイブ リッド化に当たっては、

これまでのエ ソテリック 企画同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 

特 に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターとに、

入念に調整されたエソテリック・ブランドの 最高級機材を投入、

また同社の MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリ ジナル・マスターの持つ情報を余すところなく ディスク化することができました 。

 

 



『 オテロが 乗り移ったような迫真の歌唱は、聴き手を身震いさせずにはおかない 』     

 

「カラヤンの指揮はどのフレーズも歌を歌い、それが絡み合い、くねりあい、離れてゆく。

そしてそのた びごとに官能的な匂いを残している。

デル・モナコの円熟振りも目立ち、ここでも水を得た魚のようにピタリ融和している。

テバルディも最上の出来といえ、無理のない美しい声がたっぷりと聴ける。

プロッ ティも絶唱。すばらしい「オテロ」である。」

(推薦盤、『レコード芸術』 1962 年 1 月号)

 

「デル・モナコのオテロが乗り移ったような迫真の歌唱は、聴き手を身震いさせずにはおかない。

まさ に極めつけである。声でこれだ けの芝居ができる歌手が他にいるだろうか。

カラヤンの指揮も整然とした中に、燃え立つような激しい情念が迸り、スケール壮麗な演奏を聴かせている。」

 (『クラシック・レコード・ブック 1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』、 1986 年)

 

 「デル・モナコの迫真の歌唱は音を聞いただけでも情景がはっきりと浮かんでくるほど。

まさに千両役者の芸である。それにテバルディの デズデーモナ の初々しい歌唱が対峙し、

腹黒さを内に秘めたプ ロッティの イアーゴ も独自の存在感を示す。

カラヤンはウィーン・フィルの豊麗な響きを活かし、緻密で 重厚なタ ッチで人物の背景を描く。

それはややワーグナーに傾いている印象もあるが、雄弁な語り口 には舌を巻くばかりだ。」

 (『 ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲編』、 1998 年)

 

 「カラヤンとウィーン・フィルの生み出す豪華でしなやかな演奏は、

イタリアの指揮者やオーケストラからは聞き取れない精妙な音楽を「発見」させてくれる。

剛毅な歌唱法で武骨な武人の苦悩を描き出す デル・モナコによるオテロは、狂気に至る愛の苦悩と、

何よりもオテロの誇りの高さを描き出す、究極の 歌唱の一つともいえる。

豊かな声を駆使して堂々たるドラマを描くテバルディの デズデーモナ 、プロッティの イアーゴも秀逸。」

(『クラシック不滅の名盤 800 』、 1997 年)

 



■収録曲

 

ヴェルディ:歌劇「オテロ」(全曲)

 4 幕のドランマ・リリコ / 台本:アッリーゴ・ボーイト / 原作:ウィリアム・シェイクスピア

 

[配役]

オテロ マリオ・デル・モナコ(テノール)

デズデーモナ レナータ・テバルディ(ソプラノ)

イアーゴ アルド・プロッティ(バリトン)

カッシオ ネッロ・ロマナート(テノール)

モンターノ トム・クラウゼ(バリトン)

ロドヴィーコ フェルナンド・コレナ(バス)

エミーリア アナ・ラケル・サトレ(メッゾ・ソプラノ)

 ロデリーゴ アトス・チェザリーニ(テノール)

 

ウィーン国立歌劇場合唱団

ウィーン・グロスシュタット少年合唱団

[合唱指揮:ローベルト・ベナーリオ]

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

 

 [トラックリスト]

[ DISC 1 ]

第 1 幕

 [1] 「帆だ!帆だ!」(キプロス人達、モンターノ、カッシオ、 イアーゴ 、ロデリーゴ)

 [2] 「喜べ!傲慢な 回教徒は海中に沈んだ!」〔オテロの登場〕(オテロ、キプロス人達)

 [3] 「ロデリーゴ、どうなさった、何を考えておられる?」( イアーゴ 、ロデリーゴ)

 [4] 「喜びの火、楽しげな炎は」(キプロス人達)

 [5] 「ロデリーゴよ、飲みましょう、ここに杯があります」( イアーゴ 、カッシオ、キプロス人達、ロデリーゴ)

 [6] 「さあ、咽喉をうるおして!」〔乾杯の歌〕( イアーゴ 、カッシオ、ロデリーゴ、キプロス人達)

[7] 「副官、衛兵が堡塁で君を待っているぞ」(モンターノ、カッシオ、 イアーゴ 、ロデリーゴ、キプロス人達)

 [8] 「剣をひけ!」(オテロ、 イアーゴ 、カ ッシオ、モンターノ)

 [9] 「暗い夜の中に」〔すでに夜も更けた〕(オテロ、 デズデーモナ )

 

 第 2 幕

 [10] 「いらいらなさるな」( イアーゴ 、カッシオ)

 [11] 「行け!お前の目的はもう分かっている」( イアーゴ )

 [12] 「俺は信じる、彼自身の姿に似せて俺を創った」〔 イアーゴ の信条〕( イアーゴ )

 [13] 「困ったことだな」( イアーゴ 、オテロ)

[14] 「まなざしの光り輝くところ」(キプロス人達、 イアーゴ 、 デズデーモナ 、オテロ)

 [15] 「私は、あなたのご不快を蒙って悩んでいる」( デズデーモナ 、オテロ)

 [16] 「もしも知らないうちに、あなたに対して、罪を犯していましたら」 ( デズデーモナ 、オテロ、 イアーゴ 、エミーリア)

 [17] 「罪を犯した デズデーモナ !」(オテロ、 イアーゴ )

 [18] 「貴様!退れ!出て行け!」(オテロ)

[19] 「そして今は!・・・そして永遠にさらば、神聖な思い出よ」〔さらば栄光よ〕(オテロ)

 [20] 「閣下、お心をお静めなさいませ」( イアーゴ 、オテロ)

 [21] 「夜のことでございました」〔夢の歌〕( イアーゴ )

 [22] 「おお!世にも恐ろしい罪だ!」(オテロ、 イアーゴ )

 [23] 「そうだ、わしは大理石のような空にかけて誓う!」(オテロ、 イアーゴ )

 

 [ DISC2 ]

第 3 幕

 [1] 「港の哨戒艇が大使の一行を」(伝令、オテ ロ)

 [2] 「続けろ」(オテロ、 イアーゴ )

[3] 「ご機嫌がおよろしいのでございますね」( デズデーモナ 、オテロ)

 [4] 「私は恐怖におののきながら、あなたの恐ろしいまなざしを見つめております」( デズデーモナ 、オテロ)

 [5] 「神よ!あなたは私に、あらゆる悲惨な恥ずべき不運をお投げになりました・・・

しかし、おお、悲しみよ、おお、悩み よ!」 (オテロ)

 [6] 「カッシオがあそこにおります!」( イアーゴ 、オテロ)

 [7] 「さ、おいでなさい、広間には誰もいません」( イアーゴ 、カッシオ、オテロ)

[8] 「だが、あなたの舌は」( イアーゴ 、カッシオ、オテロ)

 [9] 「あ れはヴェネツィアの船の到着を知らせず合図です」( イアーゴ 、カッシオ、オテロ、キプロス人達)

 [10] バレエ音楽

 [11] 「万歳!万歳!」(一同)

 [12] 「総督ならびに元老院は」(ロドヴィーコ、オテロ、 デズデーモナ 、エミーリア、 イアーゴ 、紳士達)

 [13] 「諸君!総統は・・・」(オテロ、ロデリーゴ、 イアーゴ 、カッシオ、ロドヴィーコ)

 [14] 「ひざまずいて・・・そう・・・土色の泥にまみれ・・・」( デズデーモナ )

 [15] 「あの潔白なお方は、憎しみの身震いを」(エミーリア、カッシオ、ロデリーゴ、 デズデーモナ 、キプロス人達)

 [16] 「行ってしまえ!」(オテロ、一同 )

 

第 4 幕

[17] 「ご主人様のお心はずっと静まりましたでしょうか ? 」(エミーリア、 デズデーモナ )

[18] 「私の母は一人の気の毒な女中を使っていたの」( デズデーモナ )

 [19] 「寂しい荒野に歌いながら泣く」〔柳の歌〕( デズデーモナ )

[20] 「お恵み溢るる聖母マリアよ」〔アヴェ・マリア〕( デズデーモナ )

 [21] 「そこにいらっしゃるのはどなた ? 」( デズデーモナ 、オテロ)

 [22] 「今夜のお祈りをすませたか ? 」(オテロ、 デズデーモナ )

[23] 「開けて!開けて下さいまし!」

(エミーリア、オテロ、 デズデーモナ 、カッシオ、 イアーゴ 、ロドヴィーコ、モンターノ)

[24] 「たと えまだほかに武器を持っていたとして、恐れないで下さい」〔オテロの死〕

(オテロ、カッシオ、ロドヴィーコ、モン ターノ)

 

[録音] 1961 年 5 月、ウィーン、ゾフィエンザール

[初出] SET209 〜 11(1961 年 )

 [日本盤初出] SLX3 - 6 (ステレオ)、 LYX3 - 3 (モノラル) (1961 年 11 月 10 日 )

 

 [オリジナル・レコーディング]

[プロデューサー]ジョン・カルショウ

[レコーディング・エンジニア]ゴードン・パリー

[ Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)

[ Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 杉本一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

 

 [ Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説] 諸石幸生 三善清達

 [企画・販売]エソテリック 株式会社

 [ 企画・協力 ] 東京電化株式会社