SACD ハイブリッド

グルダとアーノンクール・・
二人の異才の邂逅が生み出した奇跡のモーツァルト。

 

モーツァルト
ピアノ協奏曲
第23番&第26番「戴冠式」


ニコラウス・アーノンクール<指揮>
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団



価格:3,300円(税込)
ESSW-90051[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
CD層:DDD
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!




 

エソテリックならではの妥協を排したSuper Audio CDハイブリッド盤!

 オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で話題沸騰中のエソテリックによる名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代に至るまで、カタログから消えたことのない名盤を高音質マスターからDSDマスタリングし、初のSuper Audio CDハイブリッド化を実現しています。

2011年、LP時代に一世を風靡した個性的なヨーロッパの二大名門レーベル、ドイツのTELDECおよびフランスのERATOを擁するWARNER CLASSICSの名盤を復刻いたします。その第1弾としてモーツァルトの協奏曲の不滅の名盤2タイトルをSuper Audio CDハイブリッド・ソフト化し発売を開始いたします。
 


グルダとアーノンクール  
 
 ウィーン出身の名ピアニスト、フリードリヒ・グルダ(1930-2000)は、1946年のジュネーブ国際音楽コンクールで優勝し、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンを中心とするドイツ音楽の解釈で並ぶもののないピアニストであると同時に、ジャズ演奏のみならず、ジャズやオーストリア文化のイディオムを取り入れた独自の作曲作品でも知られた存在でした。多彩な活動を続けたグルダにとって、モーツァルトは重要な作曲家であり、生涯にわたってその作品を演奏し続けました。特に即興的とも思えるような装飾音の付加は、モーツァルトという作曲家のイメージに自由さと拡がりを与えることに貢献しました。モーツァルトの録音については非常に慎重で、協奏曲に関しては、一例を除き第20番以降のウィーン時代の円熟作のみを録音に残しています。

 一方、指揮のニコラウス・アーノンクール(1929年生れ)は、チェロ奏者およびウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの活動によって20世紀におけるオリジナル楽器演奏の再興者としてその名を上げ、現在ではそのメソードを指揮活動にも持ち込んで、もっとも個性的な巨匠指揮者として80歳を超えた今もかくしゃくたる活動を続けています。

二人の個性的なモーツァルティアン
 
 グルダは、1960年代にはハンス・スワロフスキー指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団と、1970年代にはクラウディオ・アバド指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とモーツァルトのピアノ協奏曲の名盤を残しています。この録音の前年には自費を投じてモーツァルトのピアノ・ソナタの全曲録音(プライベート録音)を行なうなど、そのモーツァルト演奏は名実ともに充実の極みを迎えていました。一方アーノンクールは、1970年代から最初はバッハの受難曲の指揮、そして後にはモーツァルト作品での指揮者としてコンセルトヘボウ管弦楽団との関係を深めました。1980年からはTELDECに後期交響曲の録音を開始。オリジナル楽器演奏のアーティキュレーションを取り入れ、ティンパニーや金管を一杯に鳴らすコントラストを重視したドラマティックな解釈は、新時代のモーツァルト演奏として音楽界に衝撃を与えていました。


グルダお気に入りの一枚となった1983年録音のピアノ協奏曲

 1983年に、この個性的な二人の音楽家の共演によってアムステルダムで録音されたこのモーツァルトのピアノ協奏曲第23番と第26番「戴冠式」は、グルダ本人が「本当に満足している録音」として挙げていたアルバムということでも特別な意味合いを持っています。グルダとアーノンクール、そしてコンセルトヘボウ管という組み合わせとしては、唯一の録音となったという点で貴重な録音ともいえます。実は、この録音の3か月前に、ジャズ・ピアニストのチック・コリアを加えた形でグルダとの共演・録音がモーツァルト「2台のピアノのための協奏曲」で実現しており、まさに満を持しての共演として、この2曲の録音が行われたのでした。「モーツァルトの協奏曲では、独奏者は19世紀のヴィルトゥオーゾ作品のように大スターとして登場するのではなく、最初から参加するべき」というアーノンクールの主張もあって、グルダは、オーケストラのみの部分でもコンティヌオ奏者のように冒頭から演奏に参加し、多彩なピアノで作品の魅力を開示していきます。アーノンクールも、「戴冠式」ではスコアに指定された箇所では弦楽部をトゥッティではなくソロに任せるなど、細やかなニュアンスをつけてオーケストラ・パートを構築し、華やかで祝祭的な第26番「戴冠式」とロマンティックな第23番との作風をくっきりと描き分けています。

最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現

 収録は、ヨーロッパ随一の優れた音響を誇るアムステルダムのコンセルトヘボウで行われました。全ての内装が木製の残響豊かなシューボックス型のホールに響き渡る愉悦の奏楽を、細部のシャープネスも犠牲にすることなく捉えた名録音です。

 また、Super Audio CDハイブリッド化にあたっても、マスターテープの選定から最終的なDSDマスタリングの工程での妥協を排した作業、そしてDSDマスタリングにあたっては、D/Aコンバーターとルビジウム・クロックジェネレーターなど、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材やMEXCELケーブルを使用しています。CD時代初期から何度もリマスターされ、現在に至るまで繰り返し再発売されてきた名演ですが、今回のSuper Audio CDハイブリッド化によってオリジナルの輝きが新たに蘇りました。


「まさに流麗闊達、グルダというピアニストは驚くべき存在」

 『「戴冠式」が非常に美しい名演だ。グルダのソロは今まで聴いたどのレコードよりもニュアンス豊かで、曲想の移ろいに従って弾き方を変化させながら、モーツァルトの流麗さを少しも失っていない。デリケートな音色、タッチの硬質なリズム、テンポの変化の自在感など、グルダ独自の魅力が全編に溢れている。この曲でのアーノンクールのユニークさは実に興味深い。』
(宇野功芳、『レコード芸術』1984年11月号)

 『まさに流麗闊達、モーツァルトの協奏曲をこれほど生き生きと大胆に、そして曲の細部までを造形して響きとするグルダというピアニストは驚くべき存在である。天性の音楽的感性と、現代を鋭く見つめる深い思考によって組み立てられる彼の演奏には、21世紀的な未来がある。』
(渡辺茂、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.3協奏曲編』1985年)

 『ここでのアーノンクールの指揮ぶりは確固たる自信に溢れ、メリハリの効いたアーティキュレーションをもってオケを語らせ、歌わせる。一方のグルダは、一見マイペースのようだが、オケとともに心を通わせ、対話を交わし合っている。その内容はリッチで豊かな滋味に溢れている』
(那須田務、『クラシック名盤大全・協奏曲編』、1998年)




■収録曲
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
1.ピアノ協奏曲第26番ニ長調 KV537「戴冠式」
2.ピアノ協奏曲第23番イ長調 KV488


< 演 奏 >
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:ニコラウス・アーノンクール


[録音]
[録音] 1983年9月21日〜23日
アムステルダム、コンセルトヘボウ (デジタル・レコーディング)

[LP初出] TELDEC 6.42970
[日本盤LP初出] K28C-380(1984年10月発売)
[オリジナルレコーディング/プロデューサー] 不明
[オリジナルレコーディング/エンジニア] 不明
[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰 (エソテリック株式会社)
[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア]
杉本一家(ビクタークリエイティブメディア株式会社 マスタリング・センター)
[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説] 諸石幸生 森康彦
[企画協力] 東京電化株式会社
[企画/販売] エソテリック株式会社