SACD ハイブリッド

原初ロシアのパワフルな迫力を再現する超ド級の名演・名録音。 

 
ストラヴィンスキー バレエ《春の祭典》

スクリャービン《法悦の詩》《プロメテウス ― 火の詩》

価格:4,000円(税込)
ESSD-90267[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

大好評、販売中!



■ロシア音楽の魅力を世界に発信するゲルギエフ

ワレリー・ゲルギエフ(1953年モスクワ生まれ)は、

1988年、35歳の時にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場

(当時はレニングラードのキーロフ劇場)の音楽監督に就任し、

この古い名門オペラハウスを全面的に改革・刷新し、

ボリショイ劇場を超える名声をもたらすことに成功しました。

 

ロシア・オペラでは人気曲はもちろんのこと知られざる作品も網羅的に取り上げ、

ロシア国外とのネットワークを強固にして海外ツアーを積極的に実施することで、

ロシア音楽の奥深さと魅力を世界中に届けてきました。

ロシア国内でも1993年には白夜祭音楽祭を、2006年にはコンサートホールを創設し、

次いで2013年にはマリインスキー劇場新館(マリインスキーU)を開業、

さらにウラジオストクやヴラジカフカスにもマリインスキー劇場支部としての

ホール機能を持たせることで、マリインスキー劇場は世界中の

どこにも匹敵するものがない程の大規模な複合施設と変貌を遂げたのです。

ロシアのウクライナ侵攻により、ロシア国外のさまざまなポストを剥奪され、

国外ツアーも不可能な状況にある現在でも、

ゲルギエフはマリインスキー劇場の日常の公演にほぼ連日出演し、

モーツァルトからドビュッシーにいたる幅広いレパートリーを自ら指揮しています。

 




名声を広めた旧フィリプス・レーベルへの録音    

 

歌劇場の引っ越しツアーのみならず、

CD録音もゲルギエフにとっては重要な意味を持っていました。

1989年にオランダのフィリップス・レーベルと契約を結び、

1990年のプロコフィエフ《ロメオとジュリエット》からマリインスキー劇場管との録音を開始し、

翌1991年のムソルグスキー《ホヴァンシチナ》からはロシア・オペラの全曲録音にも乗り出しました。

グリンカ、リムスキー=コルサコフ、ボロディン、チャイコフスキー、

プロコフィエフらのオペラ作品を続々と録音し、ロシア・オペラの真価を録音でもアピールする一方で、

マリインスキー劇場管弦楽団単体でのコンサートやツアーが増えるにしたがって、

オーケストラ曲の録音も徐々に増えるようになりました。

そうした時期に録音されたのが当アルバムに含まれている3曲です。




バーバリックなまでの原石のパワフルさと輝き

1997年のスクリャービン《プロメテウス》も

1999年のストラヴィンスキー《春の祭典》とスクリャービン《法悦の詩》も、

いずれもロシア国外のツアー先で録音されたものであり、

後者は日本ではレコード・アカデミー賞大賞銀賞(2001年度)を受賞するなど、

発売当初から高い評価を得てきた名演です。

ゲルギエフとマリインスキー劇場管の演奏の特徴は、

何と言っても生命力と情熱に満ち、濃厚な原色的色彩感覚に溢れ、

ドラマティックな激しさと壮大なスケールを備えたもの、ということになるでしょう。

20世紀末の潮流として細部まで精緻に整えられた演奏が指向される傾向が強くなっていましたが、

ゲルギエフとマリインスキー管はそれを原点へと呼び戻し、

作品が構想された時点での、ある意味常軌を逸した、

バーバリックなまでの原石のパワフルさと輝きを蘇らせたのです。

このアルバムの3曲もそうしたゲルギエフの手腕があらゆる面で発揮されており、

私たちが長い間忘れていたプリミティヴな迫力を再発見させてくれるのです。

《春の祭典》のあちこちで聴かれる見得を切るような大胆なルバート

(特に曲の最後で極度にテンポを落として終結する部分)、

スクリャービンの2曲で息切れせず最後まで音量を更新しトップギアで走り続ける強靭さは、

このコンビならではの魅力と申せましょう。

 

 



響きと音の明晰さが両立するロシア国外のホールでの録音    

 

ゲルギエフとマリインスキー歌劇場管の旧フィリップス録音は1991年に開始された時点では、

椅子を取り払ったサンクトペテルブルクのマリインスキー歌劇場の

平土間にオーケストラを置いて行われていました。

しかしもともと歌手の声を明晰に客席に届けるのが目的のオペラハウスであるため残響が皆無で、

録音上で豊麗なサウンドを創り出しにくいきらいがありました。

そのため徐々に歌劇場やオケの海外ツアーの際にツアー先の音響の

優れたホールで録音されるようになり、当アルバムもドイツの

バーデン=バーデンとフィンランドのミッケリで収録されています。

バーデン=バーデン祝祭劇場は1998年に開場し、

コンサートとオペラの舞台上演両方に使える客席2500のホールで、

ゲルギエフとマリインスキーのアンサンブルは長い間このホールの企画の常連でした。

舞台上演もできる大きな空間を備えていることもあって

適度な響きと音の明晰さが両立するホールと思われます。

 



スケールの大きなサウンドに呑み込まれるような臨場感の豊かさ    

 

《プロメテウス》が収録されたフィンランドのミッケリにあるミハイル・ホールは1998年の開場で、

客席は694と少ないながら、舞台が大きくフル・オーケストラの演奏も可能とされています。

録音時期からすると、開場前のトライアルで録音したのかもしれません。

いずれのホールの録音でも、オーケストラの全体の空間性や量感の表出が見事な上、

大編成の多彩なパートやソロ楽器の定位感も明確で、

スケールの大きなサウンドに呑み込まれるような臨場感の豊かさがあります。

作品及び演奏の特徴である音量・音域のダイナミック・レンジの幅広さもあるべき形で確保さえています。

スクリャービンの2曲では重要なソロ楽器として登場するトランペット(《法悦の詩》)や

ピアノ(《プロメテウス》)はソロとしての存在感を示しながらも

オーケストラのマスのサウンドの中で違和感がないようにミックスされています。

《プロメテウス》の終結部にだけ登場する合唱も巧みなバランスで独自の音色を添えています。

いずれも発売当初から優秀録音で知られるアルバムだけに、

リマスターは今回が初めてです。

 

今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、

使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、

新たに構築した「Esoteric Mastering」を使用。

入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACと

Master Sound Discrete Clockを投入。

またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。

 


『作品が内包する音の原始的なエネルギーと野趣豊かなリズムの饗宴』    

 

– 春の祭典–

 「ゲルギエフは新しい世代を代表するカリスマ指揮者だといっていい。

とにかく《春の祭典》という曲から、今まで聴くことのなかったサウンドを引き出したのだから、

これは特筆大書ものである。低音域が格段に充実し、全体に凄まじいばかりの迫力を生んでいる。

しかしそこには騒々しさや野蛮さは微塵もなく、むしろ内声部の充実という形で実を結んでいるのである。

こえはゲルギエフのコントロールの確かさ、バランス感覚の優秀さを示していると言える。」

『クラシック不滅の名盤1000』2007年

 

「初演したモントゥーを筆頭にアンセルメ、マルケヴィチなどの個性的な名演で

ポピュラーになった《春の祭典》の表現は、ブーレーズによって極め尽くされた感があったが、

そこに風穴を開けたのが、ソ連時代に一時演奏を禁じられていたロシアのゲルギエフ。

作品が内包する音の原始的なエネルギーと野趣豊かなリズムの饗宴は凄まじい。」

『新編名曲名盤300 ベストディスクはこれだ!』2011年

 

 「オーケストラの質感や野趣溢れる精悍な表現力、パワフルでありながら解釈は精緻でしたたか、

マリインスキー歌劇場管の潜在能力をここまで引き出し、

ロシアのオーケストラでしか出来ぬ表現のやり遂げているのは見事というしかない。

これを聴かずして《ハルサイ》の醍醐味は語るなかれ。」

 『最新版 クラシック不滅の名盤1000』2018年

 

– 法悦の詩–

 「このゲルギエフの演奏は、けれん味たっぷりで聴く者を興奮へと導くという点は押さえながら、

内容的には一つの交響詩としてのスケール豊かな奔流を描きだしている。

キーロフ歌劇場管の響きは必ずしも一つ一つの楽器が研ぎ澄まされた冴えを示すものではないが、

アンサンブル解いての重層性やドラマティックな起伏においては見事である。」

『新編名曲名盤300 ベストディスクはこれだ!』2011年

 

 

  

■収録曲

イーゴル・ストラヴィンスキー(1882-1971)

バレエ《春の祭典》(1947年改訂版)

第1部:大地礼讃

1 序奏

2 春のきざし ― 乙女たちの踊り

3 誘拐の遊戯

4 春のロンド

5 敵の都の人々の戯れ

6 賢者の行進

7 大地への口づけ

8 大地の踊り

 

第2部:いけにえ

9  序奏

10 乙女たちの神秘な集い

11 いけにえの賛美

12 祖先の呼び出し

13 祖先の儀式

14 いけにえの踊り

 

アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)

《法悦の詩》

15 交響曲第4番 作品54

 

《プロメテウス―火の詩》

16 交響曲第5番 作品60

 

アレクサンドル・トラーゼ(ピアノ)

キーロフ合唱団

マリインスキー劇場管弦楽団

指揮:ワレリー・ゲルギエフ

 

[録音]  

[春の祭典、法悦の詩]1999年7月24日〜27日、ドイツ、バーデン=バーデン、祝祭劇場

 [プロメテウス]1997年7月、フィンランド、ミッケリ、ミカエリ・ホール

 

 [初出]  

[春の祭典、法悦の詩]468 035-2(2001年)  

[プロメテウス]446 715-2(1998年)

 

 [日本盤初出]  

[春の祭典、法悦の詩]UCCP1035(2001年7月25日)  

[プロメテウス]PHCP11121(1998年10月1日)

 

[オリジナル・レコーディング]ヤープ・デ・ヨング真空管機材による録音

 [エクゼクテイヴ・プロデューサー]   アンナ・バリー

 [プロデューサー]   

[春の祭典、法悦の詩]スタン・タール

  [プロメテウス]アンナ・バリー  

 

[バランス・エンジニア]  

 [春の祭典、法悦の詩]ヤープ・デ・ヨング  

 [プロメテウス]エルド・フロート  

[レコーディング・エンジニア]  

 ティース・ヘクストラ  

[エディティング・エンジニア]  

 [春の祭典、法悦の詩]スタン・タール

  [プロメテウス]ティース・ヘクストラ  

[マスタリング]   オーディオ・アーカイヴィング社

 

 [Super Audio CDリマスタリング]

 [Super Audio CDリマスター]2022年9月 エソテリック・オーディオルーム、「Esoteric Mastering」システム  

[プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)  

[リマスタリング・エンジニア]東野真哉(エソテリック株式会社)

 [テクニカル・マネージャー]加藤徹也(エソテリック株式会社)

 [解説] 浅里公三、増田良介  

[企画・販売]エソテリック株式会社

 [企画・協力] 東京電化株式会社