SACD ハイブリッド

流麗かつ豊潤、そしてパワフル

カラヤンとベルリン・フィルが到達した

至高のR. シュトラウス・ワールドが究極のDSDリマスターで登場。 

 
R ・ シュトラウス :交響詩《ドン・キホーテ》

交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》・

交響詩《ドン・ファン》

価格:4,000円(税込)
ESSG-90261[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

大好評、販売中!



■音楽ソフトの概念を変えたカラヤン  

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン( 1908ー1989 )は、

録音や映像という音楽 ソフト制作に終生変わらぬ情熱を持って取り組み、

それらを演奏会の 代用品という位置づけから、大量生産と消費が可能な芸術作品へと 押し上げた人物でした。

 

録音方式は 1930 年代後半の SP 時代から 1980年代のデジタル録音まで、

映像は 1950 年代のフィルム撮影から 1980年代のビデオ収録まで 、

常に最新鋭の技術革新を採り入れなが ら自らのレパートリーを新しいフォーマットで上書きしていったカラヤ ンですが、

特に 1970 年代後半から世界的に実用化されたデジタル録 音技術、

そしてその延長線上でフィリップスとソニーが開発したコンパ クトディスクについては、

 1981年 4月、ザルツブルクで記者発表を開いて

この新しいメディアのプロモーションを買って出たほど積極的に支持。

 

その姿勢が広く報道されることが CD というデジタル・メディアが

 LP に変わって普及していく上で大きな追い風となったのでした。

当シ リーズでもカラヤンのアルバムは何度も取り上げてきており、

 R. シュトラ ウス の作品集もこれまでオペラ全曲盤 2 つを含む

5 点のリマスター盤を発売してまいりました 。

 




生涯をかけて取り組んだ R. シュラウス演奏の総決算    

 

当アルバムの 3 曲は、 1983 年と 1986 年にベルリン・フィルと録音されたもので、

当シリーズで既発売の「 交響詩 《英雄の生涯》 / 交響詩《死と浄化》 」( ESSG 90227 )、

「 アルプス交響曲 変容 」( ESSG 90240 )と同様、いわば カラヤンにとっては、

半世紀にわたる指揮活動を背景に、自分の死後後世に残す最高のソフトを残すべく、

その持てる全ての知力を動員して収録セッションを重ね、

CD および家庭用ホームビデオ再生用の演奏映像の制作に 力を入れた時期の所産です。

 

 20 世紀に活躍した作曲家の中で最も巧みなオーケストレーターの一人として知られる

 R. シュトラウス の交響詩やオペラは、オーケストラの持つ

多彩なパレットが作り出す音色の無限の可能性の魅力を堪能させてくれるレパートリーであり、

カラヤンが最も得意とし、またカラヤンという音楽家の特質を

最も端的な形で示すことのできるレパートリーでもありました。

それゆえその生涯にわたって演奏に取り組み、多くの作品につ いて、

録音技術の進歩や再生媒体の変化に伴って録音を繰り返してきました。

映像作品を除いても、《ドン・キホ ーテ》については 1965年、 1975年、 1986年の 3 回、

《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》は 1951年、 1955年、 1960年、 1972年、 1986年の 5 回、

《ドン・ファン》は 1943年、 1951年、 1960年、 1972年、 1983年の 5 回の録音が残されています。




「何でもオーケストラの音で表現できる」 R シュトラウス の管弦楽法の粋

《ドン・キホーテ》は、「騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲と題され、

スペインの作家セルバンテスの小説 『ドン・キホーテ』に基づいて書かれ、

ラ・マンチャの村に住む男が自分のことを騎士ドン・キホーテだと思い込み、

サンチョ・パンサを従者に従えて遍歴の旅に出、そこで繰り広げられるさまざまな出来事を

巧みなオーケストレー ションで表現したオー ケストラ曲。

 

「何でもオーケストラの音で表現できる」と豪語した R シュトラウス ですが、

この作 品はまさにその言葉を実践したかのようで、風は弦楽器のトリル([ 2 ]風車の冒険)で、

羊の群れは金管楽器のフラ ッター奏法([ 3 ]羊の群れに 対する冒険)で、

まるで本物のように表現されるのみならず、

ずぶぬれになった衣服から滴る水([ 9 ]第 8 変奏:修道僧に対する攻撃=弦楽器の ピッツィカート)、

そしてついには主人公が息を引き取 る瞬間([ 1 2 ]終曲:ドン・キホーテの死:チェロのグリッサンド)まで、

オーケストラの楽器の組み合わせによって描 写されています。

カラヤンとベルリン・フィルは、作曲が音符に託したイメージを

最高のヴォルトゥオジティで細密に再現しており、文字通り音楽で描き出される映像が

鮮明に浮かび上がってくるかのようです。

 

 



若手の実力派チェリスト、 メネセスが担ったドン・キホーテ    

 

またこの作品は、主人公のドン・キホーテと従者のサンチョ・パンサの役を

独奏チェロと独奏ヴィオラ(そしてその 2人のやり取りにコメントを加えるような独奏ヴァイオリン)が

演じる協奏曲的側面も持っていて、独奏者にも巧みな 「演技力」が要求されます。

中でもドン・キホーテを担うチェロは重要で、カラヤンも 1965年盤ではピエール・フル ニエ、

 1975年盤ではムスティスラフ・ロストロポーヴィチという当代最高のチェリストを起用していました。

この 1986年盤では、 1982年のチャイコフスキー・コンクー ルで優勝し

当時国際的に大きな注目を集めていたブラジル出身 のアントニオ・メネセス(当時 2 9 歳)を抜擢し、

大きな成功を収めています。 R シュトラウス はチェロの技巧を極限まで使い、

幻想に取りつかれた主人公の様々な感情を表現しており、メネセスは落ち着いた語り口でじっくりと伝えていきます。

ヴィオラとヴァイオリンは、それぞれベルリン・フィルの首席奏者のヴォルフラク・クリスト、

コンサートマスターのレオン・シュピーラーが担い、メネセスの主人公に拮抗して、作品を雄弁に物語っていきます 。

 

 


まるで映像を見るかのような鮮やかな録音    

 

この「ドン・キホーテ」の演奏は、 1996年 1月、

ベルリン・フィルの定期公演と並行して別途セッションを組んで

撮影された映像のサウンドトラックでもあります。

 

家庭で再生可能なソフト制作を目的に、通常の演奏会の中継スタイルという体裁を取りながらも、

実のところは数日にわたるセッションを組み、綿密に計算されたカメラワークによって収録された映像は、

カラヤン自身の監修のもとで編集され、さらにその映像の音声部分の収録には、

カラヤンの 盟友だったプロデューサーのミシェル・グロッツのほか、

ギュンター・ヘルマンスをはじめとするドイ ツ・グラモフォンの

スタッフが担当するという盤石の布陣が採用されました。

 

映像を見ると 3 人の独奏者はオーケストラのヴァイオリ ン、チェロ、ヴィオラ・セクションの一番前に配置され、

その配置が音にも反映されています。またカラヤンは

その3 人のソリストの前にいて文字通り演奏全体を統御する役割を視覚的にも果たしており、

カラヤン自身が構想したカ メラ割りもそれぞれの場面で担うパートのクローズアップを多用して

R. シュトラウス のオーケストレーションの魅力を 解剖するかのよう。

そうした映像構成にフィットするかのような極めて明快なミキシング による

音作りもこの時期のカ ラヤン録音の特徴といえるでしょう 。

 

 


自家薬籠中の「ドン・ファン」と「ティル」    

 

フィルアップの《ティル・オイレンシュピーゲル》と《ドン・ファン》の 2曲も、

カラヤン&ベルリン・フィルによる自家薬 籠中のレパートリーといえましょう。

前者では、いたずら者のティルが巻き起こす騒動がこれ以上ないほどの躍動感で活写され、

「ドン・ファン」では永遠の女性を求めて彷徨う男の尽きることのない憧れが痛切に表現されています。

この 2 曲は当シリーズでウィーン・フィルとの 1 960 年デッカ録音を発売しており( ESSD 90149 )、

レコード会社、 録音技術、オーケストラ、そして演奏そのものの違いを比較していただくことも、

興味深い聴体験となるのではない でしょうか 。

 

 


最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現    

 

録音が行われたのはベルリン・フィルの本拠地であるフィルハーモニーで、

ドライで引き締まったオーケストラの サウンドが

左右に大きく広がるのはこのホールでのカラヤンの録音ならでは。

表現力豊かで分厚い弦楽パートを 土台に、木管パートの表情の多彩さや緻密な名人芸を乗せ、

さらに豪壮な金管の響きを据えられたサウンドが展開されています。

 

制作面では、 1970 年代以降のカラヤンの全てのセッションを監督した

ミシェル・グロッツが音楽面のプロデュースを担い、

エンジニアはヴェテランのギュンター・ヘルマンスが担当するという最強の布陣です。

 

いずれも初出時から CD と LP がほぼ同時に発売され、

さらにカラヤン・ゴールドシリーズで Original Image Bit Processing でのリミックスによる再発売もされていますが、

 Super Audio CD ハイブリッド盤として発売されるのは今 回が初めてです。

 

 今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、 これまで同様、

使用するマスター の選定から、最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業 をおこないました。 特に DSD マスタリングに あたっては、

新たに構築した「 Esoteric Mastering 」を使用。 入念に調整された

 ESOTERIC の最高級機材 Master Sound Discrete DAC と Master Sound Discrete Cloc k を投入。

また MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・ マスター の持つ情報を伸びやかなサウンドで ディスク化することができました。

 

 





■「あたかも名人の話芸を聴くような、実に語り上手な音楽の作り方」    

 

◎ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル

 「カラヤンはこうした標題音楽的な作品を指揮させると抜群のうまさを発揮するが、

《ドン・キホーテ》は、まさに一分 の隙も無く、完璧な仕上がりだ。

各場面の描写のうまさと卓抜な演出力には、ほとほと舌を巻く。《ティル》においても、

あたかも名人の話芸を聴くような、実に語り上手な音楽の作り方で、

ティルの数々のいたずらの場面をユーモ アを込 めて活写している。

カラヤンの余裕と遊びの感じられる演奏だ。」

(『レコード芸術』、 1987 年 10 月号、特選盤)

 

◎ドン・ファン

「官能的な響きと音のうねりが素晴らしい。この演奏をしのぐものは当分現れまい。」

 (『レコード芸術』、 1984 年 9 月号、特選盤)

 

「 5 回目の録音だが、ロマン的な作品の裡に秘められた古典的な性格を鮮やかに掬い取っている、

という基本的 な解釈は変わっていない。デジタル録音が再録音のひとつのきっかけだろうが、

細部まで磨き抜かれた彫琢され つくした精緻極まりない演奏を、

いささかも間然とすると ころなく鮮明に表出している。しかも誇張や過度さはきかれない。

カラヤン&ベルリン・フィルならではのオーケストラ・サウンドの饗宴は、

めくるめくような陶酔に聴き手をい ざなわずにはおかない。」

 (『クラシック・レコードブック VOL.2 管弦楽曲編』、 1985 年)

 


 

■収録曲

リヒャルト・ シュトラウス Richard Strauss

交響詩《ドン・キホーテ》 作品 35 Don Quixote, Op. 35

騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲

 Fantasische Variationen ü ber ein Thema ritterlichen Charakters

 1. 序奏 主題 Introduktion (M äß iges Zeitma ß ) Thema (M äß ig)

 2. 第 1 変奏 Variation I (Gem ä chlich)

 3. 第 2 変奏 Variation II (Kriegerisch)

4. 第 3 変奏 Variation III (M äß iges Zeitma ß

5. 第 4 変奏 Variation IV (Etwas breiter)

6. 第 5 変奏 V ariation V (Sehr langsam)

7. 第 6 変奏 Variation VI (Schnell)

8. 第 7 変奏 Variation VII (Ein wenig ruhiger als vorher)

9. 第 8 変奏 Variation VIII (Gem ä chlich)

 10. 第 9 変奏 Variation IX (Schnell und st ü rmisch)

 11. 第 10 変奏 Variation X (Viel breiter)

12. 終曲 Finale (Sehr ruhig)

 

アントニオ・メネセス(チェロ) Ant ó nio Meneses, Violoncello

ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ) Wolfram Christ, Viola

 レオン・シュピーラー(ヴァイオリン) Leon Spierer, Violin

13. 交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》 作品 28

Till Eulenspiegels lustige Streiche, Op. 28

ロンド形式による、昔のならず者の説話による

nach alter Schelmenweise in Rondeauform

 

 14. 交響詩《ドン・ ファン》 作品 20 Don Juan, Op. 20

ニコラウス・レーナウの詩による交響詩 Tondichtung nach Nicolaus Lenau

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン Conducted by Herbert von Karajan

 

[録音] 1986 年 1 月(ドン・キホーテ)、 1986年 6月(ティル・オイレンシュピーゲル)、 1983 年 2 月(ドン・ファン)、

ベルリン、 フィルハーモニー

 

 [初出] [ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル] 419 5 52 2(1987 年

[ドン・ファン] 410 959 2(1984 年

 [日本盤初出] [ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル] F35G 20140 (1987 年 8 月

 [ドン・ファン] F35G 50066 (1984 年 7 月

 

[オリジナル・レコーディング]

[プロダクション] ギュンター・ブレースト

 [レコーディング・スーパーヴィジョン] ミシェル・グロッツ(ドン・キホーテ、ティル)、

ヴェルナー・マイヤー&ミシェル・ グロッツ(ドン・フ ァン)

[バランス・エンジニア] ギュンター・ヘルマンス

[エディティング] ユルゲン・ブルグリン&レイナー・ヘプファー(ドン・キホーテ)、

ライナー・ヘプファー(ティル)、ライ ンヒルト・シュミット(ドン・ファン)

 

[ Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰( エソテリック株式会社

 [ Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(エソテリック株式会社)

 [ テクニカルマネージャー 加藤徹也(エソテリック株式会社)

[解説] 諸石幸生 寺西基之

[企画・販売] エソテリッ ク株式会社

 [企画・協力] 東京電化株式会社