SACD ハイブリッド

何も足さない。何も引かない。

マーラーの音楽の本質のみをダイレクトに提示した

ブーレーズ とウィーン・フィル最上の成果が、

世界初Super Audio CD ハイブリッドディスク化。   

 
マーラー:交響曲第6番《悲劇的》

ピエール・ブーレーズ(指揮)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

価格:3,611円(税別)
ESSG-90231[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

2020年12月20日、発売予定、予約受付中!



■感情移入から作品を解き放ち明晰さで勝負する指揮者  

 

ピエール・ブーレーズ(1925-2016) は、

20世紀後半から21世紀初頭にかけて音楽史及び演奏史に

重要かつ個性的な足跡を残したフランスの作曲家・指揮者です。

 

パリ音楽院でメシアンらに学び、セリー形式の作品を作曲し、

ダルムシュタット現代音楽講習会で注目を浴びる一方で、

指揮者としては1950 年代から現代音楽アンサンブル「ドメーヌ・ミュジカル」を組織して活動を開始。

 

1967 年からジョージ・セルのもとでクリ―ヴランド管弦楽団の首席客演指揮者をつとめ、

以後同管音楽アドヴァイザー、ニューヨーク・ フィル音楽監督、BBC響首席指揮者を歴任し、

さらに1977 年にはIRCAM (フランス国立音響音楽研究所)設立に関わりその初代所長を務めました。

 

 ブーレーズが指揮者としての名声を確立したのは、ドビュッシー以降の近代〜20世紀音楽において、

過度の感情移入から作品を解き放ち、一つ一つの音に徹底的にこだわり、

細部まで緻密かつ明晰な解釈を施すことで整然と立ち現れてくる

作品像を提示する手腕によるものといえるでしょう。

そして時に冷徹ささえをも感じさせたその演奏 解釈を世界の音楽ファンに伝えたのが

1966 年に開始され1980 年代初頭まで継続された米CBSへの膨大な録音でした。

 




一皮むけた1990 年代以降のブーレーズによるマーラー    

 

IRCAM 所長を1991年に辞したブーレーズは、

IRCAM 時代に封印していた世界各地のオーケストラ への客演を再開し、

時を同じくしてドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、

CBS への録音で定評のあったレパートリーを中心に再録音を開始します。

 

ドビュッシー、ラヴェル、新ウィーン楽派、バルトーク、 ストラヴィンスキーなど

お得意の作曲家の体系的な録音にエネルギッシュに取り組み始めました。

ブー レーズの演奏解釈も、緻密でクリアな音のリアリゼーションはそのままに、

70 年代までのCBS 録音の冷 厳なとげとげしさに代わって繊細さやふくよかさを体得し、

年相応の円熟味や風格を感じさせるものへと変化を遂げていったのです。

 

その「1990 年代以降」のブーレーズが力を注いだのが、CBS 時代には

ごく一部しか取り上げなかったマーラーの交響曲の全曲録音でした。

1994 年の第6 番から2010 年の 第10 番アダージョまで、16 年という年月をかけ、

ウィーン・フィル、シカゴ響、クリーヴランド管、ベルリン・シュターツカペレという

4つのオーケストラを振り分けて完成させた全集は、

最円熟期ともいうべきブーレーズの代表盤といっても過言ではないでしょう。

 

ブーレーズにとってマーラーは決して新しいレ パートリーというわけではなく、

1970 年代からBBC響やニューヨーク・フィルで定期的に取り上げ、

1976 年にはニューヨークでマーラー・フェスティヴァルを開催しています。

1990 年代のブーレーズが取り組んだマーラー演奏には

そうした1970 年代からの着実な演奏の積み重ねが、円熟味を加えて結実した ものでもありました。




相乗効果をもたらしたウィーン・フィルとの共演    

 

その第1弾となったのが、今回Super Audio CD ハイブリッド化される

ウィーン・フィルとの交響曲第6 番「悲劇的」です。

1994 年5月の第9 回定期とウィーン芸術週間の3 回の公演の合間を縫って

ムジー クフェラインザールでセッション収録されたものです。

ブーレーズの指揮のもと、マーラーの交響曲の中でも最も強面で、

しかも人間の生・愛と死をテーマとするなど感情的な面でも

極めてパワフルな作品であるこの第6番「悲劇的」が、

むしろ古典的な4 楽章形式の作品として整然と鳴り響くさまは爽快なほど。

しかもウィーン・フィルの歌心と色彩感に溢れたサウンドは、

第1 楽章や第4 楽章のクライマックスな どでどんなに音楽が密集しても

決して混濁しない明晰な透明感を保ち、濃厚なウィンナ・ホルンの咆哮、

チャーミングなオーボエやクラリネットなどが随所に花を添えています。

 

第4 楽章で打ち鳴らされる木槌 (ハンマー)の打撃(全集版に従って2 回)も突出せず

あくまでも音楽的な範囲にとどまっているのも ブーレーズならでは。

いわば指揮者・オーケストラ両者の長所が相乗効果となって結実した演奏といえましょう。

ブーレーズとウィーン・フィルとの初共演は1962 年、

つまりブーレーズが指揮者としての活動に力を入れ始めた頃に遡りますが、

その時点では相思相愛とはならず、再共演はその30 年後の1992 年まで待たねばなりませんでした。

 

これ以降は定期的な共演が続き、2003 年には

ウィーン・フィルの舞踏会の開幕演奏にも招かれているほどの蜜月関係となります。

カラヤンとバーンスタインを相次いで 失った1990 年代のウィーン・フィルにとってブーレーズは、

常連だったメータやアバド、マゼールよりも 年配の世代の指揮者として、

いわば守護神的な存在となったと思われますが、

その出発点がこのマー ラーの交響曲第6 番であったといえるでしょう。

 




最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現    

 

ウィーン・フィルの本拠地ムジークフェラインザールでの収録を手掛けたのは、

ドイツ・グラモフォンの ヴェルナー・マイヤーとライナー・マイラード

(1990 年DG 入社。現在はエミール・ベルリナー・スタジオ社長)というヴェテランと気鋭のコンビ。

ライヴではなくマイクのセッティングが自由なセッション収録とい うこともあって、

ムジークフェラインらしい暖色の豊かな響きの中で、

スケールの大きなオーケストラ・サ ウンドが捉えられています。

 

マーラーが随所で使用したチェレスタやカウベルといった隠し味的な響きも遠近感を保ちながらも

きっちりとした輪郭をもって再現されているのは、

ブーレーズの見事なオーケ ストラ・バランスのコントロールと

その意思を組んだエンジニアリング側のバランスづくりの相乗効果の賜物。

 

初出以来何度も再発売されている名盤ですが、今回は初のリマスタリングとなります。

今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまで同様、

使用するマスターテープの選定から、最 終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

特にDSD マスタリ ングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターとに、

入念に調整された ESOTERIC の最高級機材を投入、

またMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・ マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

 

 


「この交響曲の理想的な演奏」    

 

「ここには過度の思い入れはない。デフォルメもエンファサイズもない。

たとえば第1 楽章の有名なアルマの主題などもごく自然に歌われる。

同じウィーン・フィルの演奏でも、熱く勢い込んだバーンスタイン の演奏とは好対照をなす。

ブーレーズは部分、部分の個別に意味にこだわるよりも、

そうしたエピソー ドのひとつひとつとはとりあえず距離を置いて、部分と部分のつながりに、

その連続性に、つまり曲の 仕組みに気を配る。(……)

また終楽章の精緻にして自然でスムーズな音楽の流れはどうだろう!

とりあえず作曲家と作品に距離を置いてどこまでも音楽の論理の中で脈絡をつけようとする姿勢だ。

だが しかし、それにもかかわらず指揮者と演奏者たちの体温がそのまま伝わってくるような、

この演奏の得も 言われぬ人間味はどこから来るのだろう!」

 (日本初出盤のライナーノーツより)

 

 「この交響曲の理想的な演奏である。ライヴでは、おそらくこんなに鮮やかには聴こえてはこないだろう。

複雑な構造の綾を見事に解き明かし、ハイビジョン映像でもみるかのごとくクリアに描き出す。

しかも大 編成のオーケストラの響きの厚みから遠近感まで写しとってしまうのである。

そうした解析度の高さ、解釈の精緻さに以前は冷たさを感じたものだが、

この演奏でのブーレーズにはそうした要素はあまり感じられない。

むしろ歌いまわしの自然さ、雄弁さが際立ち、エモーショナルな流れにも熱っぽさがよく出ているように思われる。

とくに第4 楽章後半のゾクゾクするような表現は迫真的。

冴え冴えとした美しさと ともに、凄味を感じさせるマーラーだ。」

 (『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』、1998 年)

 

 「〈レントゲンで透かして見せるかのよう〉とも評されたブーレーズならではの冷徹な分析が冴えわたると同時に、

演奏全体に豊かな広がりと温かみが加わっている。

ブーレーズ自身の言葉を借りれば、作品への〈距離と近しさ〉を併せ持つ演奏ということになろう。

それはブーレーズ円熟の成果にほかならない のだが、

ウィーン・フィルを指揮した演奏であることの意味も大きい。

このオケが持つ美しく歌うことへの 本能から生じる自然な歌心と情感が、

ブーレーズが編み上げてゆく知的で論理的な音楽構造の狭間から

滲み出してくるのだ。この曲の理想的な名演だ。」

(『最新版 クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編[上]』、2015 年)

 

 

 

■収録曲

グスタフ・マーラー(1860-1911)

交響曲第6 番 イ短調 「悲劇的」

[エルヴィン・ラッツ校訂による国際マーラー協会全集版(改訂版)]

 1 第1 楽章 アレグロ・エネルジーコ、マ・ノン・トロッポ 激しく、しかし気骨をもって

2 第2 楽章 スケルツォ 重々しく

3 第3 楽章 アンダンテ・モデラート

4 第4 楽章 フィナーレ ソステヌート〜アレグロ・モデラート〜アレグロ・エネルジーコ

 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮:ピエール・ブーレーズ

[録音] 1994 年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール

 [初出] 4458352(1995 年3 月15 日)

 [日本盤初出] POCG‐1848(1995 年3 月25 日)

 

 [オリジナル・レコーディング]

[エグゼクティブ・プロデューサー] ロジャー・ライト

[レコーディング・プロデューサー] ヴェルナー・マイヤー

[トーンマイスター(バランス・エンジニア)] ライナー・マイラード

 [レコーディング・エンジニア] ラインヒルト・シュミット、シュテファン・フロック

[エディテイング] マーク・ビュッカー

[コープロダクション] エーヴァルト・メルクル

 [Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

 [Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(JVC マスタリングセンター(代官山スタジオ))

[オーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 岩下真好

 [企画・販売] エソテリック株式会社

[企画・協力] 東京電化株式会社