SACD ハイブリッド

カラヤンが最晩年に

自らの人生を振り返るように描き上げた、

豪壮華麗な「英雄の生涯」。  

 
R.シュトラウス:

交響詩《英雄の生涯》 /交響詩《死と浄化》

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団  

価格:3,611円(税別)
ESSG-90227[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

大好評、販売中!



■最新技術が記録した最晩年のカラヤンの音楽の深化  

 

1980年代に入ったカラヤンは持病の腰痛が悪化し、腕を肩より上にあげることさえできなくなり、

指揮台に客席からはそれと見えない高めの椅子を固定して、そこに腰かけて指揮するようになりました。

トレードマークだった「目を閉じたまま、流麗な棒さばきで オーケストラを操る」颯爽とした

指揮ぶりは見られなくなったものの、 オーケストラを統率する強靭な精神力には微塵の衰えもなく、

逆にその肉体の不自由さがカラヤンの音楽作りにそれまでになかった

ある種の奥行きと深みを加えるようになりました。

演奏意欲そのものにも衰えは全く見られず、録音面では

デジタル録音技術をフルに生かせる再生ソフトとしてようやく実用化された

コンパクトディスクという新媒体のために、

自らのスタンダード・レパートリーの再録音プロジェクトに執念を燃やすことになります。

 




綿密な映像収録とリンクしたオーディオ・ソフトの制作     

 

さらにカラヤンは、その再録音プロジェクトを家庭再生用の演奏映像ソフトの制作と

密接にリンクさせて行うべくテレモンディアル社を設立し、

メディアミックスによって新たな音楽市場の開拓に乗り出します。

 

映画館など大きなスクリーンでの上映を前提としたそれまでのユニテル社でのフィルム収録ではなく、

 ビデオテープを使った映像は、鮮明さに加えて音と映像のシンクロの精度を大幅に向上させることになり、

自らの主要レパートリーをこの新しいテクノロジーによって、家庭で再生可能なソフト制作を目的に、

改めて収録しなおすという大プロジェクトがスタートすることになりました。

 

通常の演奏会の中継スタ イルという体裁を取りながらも、

実のところは数日にわたるセッションを組み、綿密に計算されたカメラ ワークによって収録された映像は、

カラヤン自身の監修のもとで編集され、さらにその映像の音声部分の収録には

ドイツ・グラモフォンのスタッフが担当するという盤石の布陣が採用されました。

 

ベルリン・ フィルとはベートーヴェン、ブラームス、 R.シュトラウスなどの

交響曲・管弦楽曲が続々と収録され、

まずはCDをメインに LPやカセットという従来の音声ソフトでドイツ・グラモフォンから発売されることになり、

 カラヤンはCDという新しいメディアにおいても自らの存在感を確固たるものとしたのでした

 (映像ソフトの方はカラヤンの没後「 Legacy for Home Video」としてソニー・クラシカルから発売されました )。

 

当アルバムの 2曲のうち《英雄の生涯》は、

このメディアミックス・プロジェクトの枠組みで制作されたもので、

1985年 2月 23日と 24日にブラームスの交響曲第3番との組み合わせで行われた

 2回の定期公演を中心に、リハーサルやセッションなどのテイクも交えて編集されました。




生涯をかけて取り組んだ R.シュトラウス演奏の総決算     

 

R.シュトラウスの交響詩やオペラは、カラヤンが最も得意とし、

またカラヤンという音楽家の特質を最も端的な形で示すことのできるレパートリーでもありました。

それゆえその生涯にわたって演奏に取り組み、多くの作品について、

録音技術の進歩や再生媒体の変化に伴って録音を繰り返してきました。

当アルバムに収録された《英雄の生涯》は 1959年、1974年、1985年の 3回、

《死と浄化》は 1953年モノラル、 1960年、1972年、 1982年の 4回、

オーディオ・ソフトとしての録音を行っています。

 

特に《英雄の生涯》は 1959年録音がドイツ・グラモフォンでの

ベルリン・フィルとの最初のステレオ録音に選ばれたり、

 1974年録音はジャケットに有名なカラヤンのキラリと光る「革ジャケ」写真が使われたりと、

カラヤンの数多くの録音の中でも特に話題をまき、

その音楽家としての代表的なイメージともなりました

(それはおそら く偶然ではなく、カラヤンやレコード会社側での

綿密なマーケティング戦略が背後にあったと思われます)。

演奏内容の重量感のある充実ぶりもこの最晩年の一連の録音の特徴です。

 

カラヤンの統率のもと、コンサートマスターのシュピーラーと安永徹、

ヴィオラのクリスト、オーボエのシェレンベルガー、ホルンのザイフェルトなど、

この時代の名物奏者たち要所を固めるベルリン・フィルが鉄壁のアンサンブルを聴かせ、

シュトラウスによる豪壮華麗なオーケストレーションの魅力がこれ以上ないほど緻密に

実際の音として紡ぎだされていく様は圧巻であり、

文字通り息をのむほかない演奏体験といえるでしょう。

 




最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現     

 

録音が行われたのはベルリン・フィルの本拠地であるフィルハーモニーで、

ドライで引き締まったオー ケストラのサウンドが左右に大きく広がるのは

このホールでのカラヤンの録音の通例です。

 

このシュトラウスの 2曲では、奥行きの深さよりも、

オーケストラの各パートの明晰さを優先している趣があり、

音楽の主要パートを映像できっちりと捉えてゆくカラヤンの映像演出の意図を組んでのゆえか、

木管や金管のソロが明確にピックアップされてミキシングされているのが印象に残ります

(とはいえ、「英雄の妻」の最後の部分でのオフステージのトランペットの距離感は見事に捉えられています)。

 

表現力豊かで分厚い弦楽パートを土台に、木管パートの表情の多彩さや緻密な名人芸を乗せ、

さらに豪壮な金管の響きを据えられたサウンドは、

まさにカラヤン・サウンドの一つの典型であり、究極の完成形といえましょ う。

 

初出時から CDと LPがほぼ同時に発売され、

さらに Original Image Bit Processingでのリミックスによる再発売もされていますが、

今回は初めての DSDリマスタリングとなります。

今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまで同様、

使用するマスターテープの選定から、最終的な DSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

特に DSDマスタリングにあたっては、 DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整された ESOTERICの最高級機材を投入、

また MEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

 

 



「シュトラウスの音楽をここまで突き詰めた演奏は今なお他に例がない」    

 

「カラヤンがデジタル録音の《英雄の生涯》を完成させた。

この指揮者として 「シュトラウスの音楽をここまで突き詰めた演奏は今なお他に例がない」

 「カラヤンがデジタル録音の《英雄の生涯》を完成させた。

この指揮者としては 3度目の録音である。 (・・・)

それにしてもこれは現代のオーケストラ演奏の極限といわねばなるまい。

ベルリン・フィルハーモニーがこれほどの名技的オーケストラであるかが、

この曲でのレオン・シュピーラー(コンサートマス ター)の独奏を聴けばわかるというものだが、

カラヤンはそうした楽団の能力に全幅の信頼を寄せながらも、

今度の演奏では、純音楽的と形容したい端麗さと細部を誇張しない表情、堅固な構成力、

そして共感あふれる歌の緊張が、曲の進行とともに起伏し、加熱を続けていく。

楽譜をあるがままに演奏した素朴さに、自然体ともいうべき悠揚とした流れの幅広さが加わり、

音楽の大きさと深さを印象付ける。それは聴き手を説得せずにはおかない演奏である。

そこには偉大な芸術家の清澄な境地が評されていたのである。」

(日本初出盤のライナーノーツ、 1985年)

 

 

「最近のカラヤンの老熟した精神的な充実ぶりがよく表れた、期待通りの名演。

その楽譜の読みの深さと演出力は卓抜だ。解釈としては前 2回と大差はないが、

全体にテンポを幾分速めにとり、構えのしっかりしたスケールの雄大な音楽を作り上げている。

コンサートマスターのシュピーラーのソロが入る「英雄の伴侶」の部分で、これほど素晴らしい独奏も珍しい。」

 (レコード芸術・別冊『クラシック CDカタログ 89〈前期〉』、 1989年)

 

 

 「《英雄の生涯》は 74年盤に比べるとより表現は巧緻になり、枝葉末節に至るまで艶やかに歌い込んでいる。

と同時に、いくぶん手綱を緩めることによって重厚さが増し、

まことに豪放磊落な演奏へと変貌 を遂げているのである。独奏を受け持つシュピーラーにしても、

ここぞとばかりにたっぷりと歌わせ、ケレンのない表現で肉薄しているのは聴き所。

カラヤン最晩年のいささか主情的傾向が曲の隅々まで濃 い陰影と奥行きをもたらし、

結果としてよりスケールの大きい演奏表現を生んでいる。それに伴いオケ は総力戦の感があり、

高いテンションを全体にみなぎらせた空前絶後ともいうべき熱演をものしているのである。」

「《死と浄化》では、音そのものにこだわり、感情や詩情や意味を離れて、ひたすら音のドラマに入り込む。

今となっては、これぞカラヤン流のシュトラウスで、これはシュトラウス演奏のすべてはないのが明らかだが、

シュトラウスの音楽をここまで突き詰めた演奏は今なお他に例がない。」

(『ONTOMO MOOKクラシック名盤大全管弦楽曲編』、 1998年)

 

 

「現代の名人軍団といわれる BPOとカラヤンのコンビは、おそらくシュトラウスの管弦楽曲を演奏するには、

理想の顔合わせといえるのではないか。その輝かしくも官能的なサウンドに酔い痴れる度量があれば、

これが天下の名盤であることが、たちどころに分かるだろう。帝王の真髄が、ここに刻まれている。」

(『クラシック不滅の名盤 1000』、2007年)

 

 


■収録曲

リヒャルト・シュトラウス

交響詩《英雄の生涯》作品 40

―大管弦楽のための交響詩―

1.英雄

2.英雄の敵

3.英雄の妻

4.英雄の戦場

5.英雄の業績

6.英雄の引退と完成

7.交響詩《死と浄化》作品 24

 ―大管弦楽のための交響詩―

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

レオン・シュピーラー(ヴァイオリン・ソロ)[英雄の生涯]

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

 

[録音] 1985年 2月 18日〜20日(英雄の生涯)、

1982年 1月 26〜28日(死と浄化)、

ベルリン、フィルハーモニー

 

[初出] 英雄の生英雄の生涯 415 508-2(1986年) 死と浄化 410 892-1(1983年)

[日本盤初出] 英雄の生涯 F35G50328(輸入盤・LPと同時発売) (1986年 5月 25日)

死と浄化 28MG0570(LP) (1983年 8月 1日)

 

[オリジナル・レコーディング]

 [エクゼクティヴ・プロデューサー]ギュンター・ブレースト

 [レコーディング・プロデューサー]ミシェル・グロッツ

 [バランス・エンジニア]ギュンター・ヘルマンス

 [エディテイング]ラインヒルト・シュミット (死と浄化)

[Super Audio CDプロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)

 [Super Audio CDリマスタリング・エンジニア]東野真哉(JVCマスタリングセンター (代官山スタジオ ))

[Super Audio CDオーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説]諸石幸生渡辺護小石忠夫

 [企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社