SACD ハイブリッド

人智を超えたピアノの技が、

ショパンの純粋な音楽美を明らかにする。

 ピアノ演奏史を塗り替えたポリーニの名盤、最新DSDマスタリング。  

 
ショパン:ポロネーズ集(全7曲)

価格:3,611円(税別)
ESSG-90208[SACD Hybrid]
DSD MASTERING Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

2019年12月15日 発売予定、予約受付中!



■20世紀ピアノ演奏の極点に到達した1970年代のポリーニ  

 

イタリアの名ピアニスト、

マウリツィオ・ポリーニ(1942年1月5日生まれ)が一躍その名を世界にとどろかせたのは、

1960年のショパン国際コンクールで優勝を飾った18歳の時のこと。

 

審査員全員一致の推挙であり、

しかも審査員長だったルービンシュタインの

「私たち審査員の中で、彼ほど上手く弾けるものがいようか」という言葉は、

ポリーニという存在がいかにセンセーショナルであったかを物語っています。

 

ミラノのヴェルディ音楽院卒業のはるか前の9歳でデビューを果たした若きピアニストは、

しかし、この直後に公の演奏活動から身を退き、

レパートリーの拡充を含めさらに自らの芸術を深めるための研鑽を続けたのでした。

そしてそのドロップアウトの期間を経て1968年に演奏活動を本格的に再開し、

さらに1971年にはヨーロッパ各地への広範はリサイタル・ツアー、

それとドイツ・グラモフォンからのデビュー・アルバム「ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」からの

3楽章&プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」」

[当シリーズでSuper Audio CDハイブリッド化済み]によって、再び世界を驚愕させることになりました。

その後「ショパン:練習曲集」(1972年)、「シューマン:幻想曲&ピアノ・ソナタ第1番」と

「シューベルト:さすらい人幻想曲&ピアノ・ソナタ第16番」(ともに1973年)、

「シェーンベルク:ピアノ・ソロ作品集」「ショパン:24の前奏曲」(ともに1974年)と、

毎年のようにそれまでの演奏・録音史を根本から塗り変えるような

鮮烈なソロ・アルバムを続々と発表し続けました。

 

その1970年代のポリーニの一つのクライマックスが結実したのが

1975年から1977年にかけて録音されたベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタ集

(その中から、ピアノ・ソナタ第28番と第29番「ハンマークラヴィーア」は当シリーズで発売済み)ですが、

それ同時期に録音されたショパンの「ポロネーズ集」も、

因縁のショパン・コンクール以来積み重ねされてきた

ポリーニのショパン演奏の一つの頂点に位置するものといえるでしょう。

それは20世紀ピアノ演奏の極点でもありました。

 




きわめて純音楽的なショパン     

 

まだアルトゥール・ルービンシュタインの演奏が究極のショパンとされ、

サンソン・フランソワの個性的な解釈にも愛着を感じる人が多かった1970年代に、

彗星のごとく再登場し、1972年の「練習曲集」、1974年の「24の前奏曲」でポリーニが提示したショパンは、

これまでのショパン演奏の通念を鮮やかに打ち破るものでした。

 

ショパンの演奏解釈にまとわりついていたポーランドの民族主義的な要素

(愛国主義や土着の舞曲様式などとの繋がり)を断ち切り、

楽譜に書かれた音符や指示を純粋に音楽的に捉え、

緻密に、かつ信じられないほどの精度の高さで音化してゆくことで、

逆に純粋な音楽としてのみ屹立するショパンの音楽の強靭さが際立ち、

ユニバーサルな説得力を獲得することになったのです。

 

1975年の「ポロネーズ集」もその延長線上にあります。

あらゆる音符が吟味・消化され尽くし、余分な感情や思想の重みから解放され、

しかも一瞬たりとも弛緩しない熱を帯びた緊張感の中で整然と奏でられていく様はむしろ心地よいほどで、

まさに20世紀後半のピアノ演奏が行きついた究極の姿でもありました。

ポリーニは77歳を迎えた今でもショパンを弾き続け、

新録音を発表していますが、この1975年の「ポロネーズ集」で辿り着いた境地とは

異なる方向へ進んでいることがわかります。

 





ムジークフェラインザールとは思えない明晰なサウンド    

 

収録はウィーンのムジークフェラインザールで行われています。

客が入らない録音セッションの場合、残響成分が多く、

特にソロのセッション録音には不向きとされるムジークフェラインザールが使われているのは珍しいことです。

そういう条件ではあっても、収録に当たったバランス・エンジニアは

ドイツ・グラモフォンの名手クラウス・ヒーマンであり、

ピアノの音をかなりクローズアップし、ホールの響きに埋没させないことで、

ポリーニの明晰極まりないタッチから生み出される一音一音の鮮烈さが、

時折発せられるポリーニの気合いの唸り声とともに、手に取るように捉えられています。

ドイツ・グラモフォンのホールトーンを生かしたニュートラルなサウンドからは

さらに一歩踏み込んだ名録音といえましょう。

 

 




最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現    

 

この録音は歴史的な名盤だけにCD発売初期からデジタル・リマスター化されており、

その後1990年代にはORIGINALSのシリーズでOIBP化され、

さらに2003年にはエミール・ベルリナー・スタジオのアンドルー・ウェッドマンによってDSD化され

Super Audio CDハイブリッドディスクで発売されています。

 

それゆえ今回は16年ぶり2度目のSuper Audio CDハイブリッド化となりますが、

これまで同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

特に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整された ESOTERIC の最高級機材を投入、

また MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

 

 

 

 


「切れ味の良いリズム、鍵盤を打ち抜くかのような
衝撃的かつ重厚な和音から繊細精妙に彫琢された
ピアニシモにいたる表現の幅の大きさ、そして一点の曇りのない明晰さ」
  
 

 

「ポリーニの弾くショパンのポロネーズには、人間の屈折した熱情のたぎりと、疑いもなく、

魂のもっとも奥深くに達している沈潜がある。それもおそろしく醒めた魂の。(・・・)

ポリーニのリリシズムは、その裏に言い難い烈しさをたたえ、

熱情の陰では恥じらいを秘めた知性が糸を引いているのだが、

これもまた、ショパンのすぐれた傑作に見られる特質に他ならないと言えるだろう。

そうしたとき、ショパンの夢想は常に意識のもとに統御され、

正確に書きとどめられるべきものとしあったのだ。」

 初出盤ライナーノーツより 1976年

 

 「ポリーニは、どんな細かい部分も技術的に

完全に再現せずにはおかない高度のテクニックをもって弾いている。

彼の演奏には不安的なところが少しもない。

それは単に指の運動が正確無比であるという点にとどまらない。

聴き手を絶対的に安心させ、信頼せるゆるぎがないテクニックが身に備わっているのが実感できる。

そして弾き出される音の質や色が充分に吟味され、

その結果、硬い輝かしい音が作り出されることになるのである。

第3番《軍隊》や第6番《英雄》など解放的で明解な性格の作品では、

ポリーニの力はフルに発揮されている。彼の器の大きさが顔を見せている演奏である。」

 『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』1997年

 

 「デュトワの音楽監督就任以来、実力をつけてきたモントリオール響の真骨頂を聴くことのできる最良の1枚。

 

両者はとりわけラヴェルの演奏を残しているが、

デュトワの計算しつくされた巧みな設計とオーケストラの一糸乱れぬアンサンブルは、

聴く者の心を魅了せずにはおかない。美しい響きを十全にとらえた録音も第1級のもの。」

 「レコード芸術」推薦 1977年1月号

 

 「ポリーニの演奏にまず何といってもその最弱音から最強音にいたるピアノの音色の美しさに魅了される。

このポロネーズの演奏ではとかくダイナミックで壮大な表現を意図してそうした意気込みが先に立ち、

音が濁って感情だけが空回りする危険性もあるのだが、ポリーニの演奏にはさすがにそれがなく、

音自体に即した見事な緊張感を引き出している。それでいて情緒もあり、

抒情的な旋律の流れもロマン的だから、聴いていて思わず音楽の中に引き込まれる。」

 『クラック・レコード・ブックVOl.4 器楽曲編』1985年

 

「ポリーニが生み出す音は本質的に硬い。

けれども最弱音から最強音にいたるまで、細心の注意を払って丁寧に磨き上げられているため、

硬さは迫力や緊張を強めるのに役立つことはあっても、決してマイナスになることがない。

耳に快い強音――これがポリーニの強みになっている。

ポリーニのこの音に慣れてしまうと、強度不足のもろい音によるポロネーズが、頼りなくなってしまう。」

 『クラシック名盤大全 室内楽曲編』1998年

 

 「きわめて洗練されたピアニズムと独自の音楽性を持つポリーニのポロネーズは、

ポーランドの伝統的なそれとは趣を異にする。

切れ味の良いリズム、鍵盤を打ち抜くかのような衝撃的かつ重厚な和音から

繊細精妙に彫琢されたピアニシモにいたる表現の幅の大きさ、そして一点の曇りのない明晰さ。

また、純粋な音響美を追求しつつも、抑圧的な苦悩の色合いに満ちた第2番や輝かしい《軍隊》など、

これらの作品に内在する精神性も忘れな。完成度の高い名演だ。

」 『ONTOMO MOOK クラシック不滅の名盤1000』2007年

 

 「完璧な技巧というものは、曲の形のみならず、心をもこよなく表現しうる、

ということの見本。どの曲においても、ショパンがこの曲種にこめた祖国への濃い情念が、

しっかりと、奥深く表現されている。情に流されるショパンではなく、造型感覚にも秀でていた彼を、ここに聴く。」

 『最新版・クラシック不滅の名盤1000』2018年

 



■収録曲

ショパン

ポロネーズ

1  第1番 嬰ハ短調 作品26の1

2  第2番 変ホ短調 作品26の2

3  第3番 イ長調 作品40の1 《軍隊》

4  第4番 ハ短調 作品40の2

5  第5番 嬰へ短調 作品44

6  第6番 変イ長調 作品53 《英雄》

7  第7番 変イ長調作品61 《幻想》

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

 

[録音]1975年11月21日〜27日、ウィーン、ムジークフェラインザール

[初出]2530 659 (1976年)

 [日本盤初出]MG1040(1976年12月1日)

[オリジナル・レコーディング] [プロデューサー、レコーディング・プロデューサー]ライナー・ブロック

[バランス・エンジニア]クラウス・ヒーマン

[レコーディング・エンジニア]ユルゲン・ブルクリン

 [Super Audio CDプロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)

 [Super Audio CDリマスタリング・エンジニア]杉本一家(JVCマスタリングセンター(代官山スタジオ))

 [Super Audio CDオーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説]諸石幸生、小林利之

 [企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社