SACD ハイブリッド

高貴な歌に満ち溢れたジュリーニ最円熟のブルックナー。   

 
ブルックナー:交響曲第9番

カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

価格:3,972円(税込)
ESSG-90195[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



■ウィーン・フィルとの蜜月から生み出された名盤  

 

ジュリーニがウィーン・フィルを指揮したのは全部で 35 回。

その最初は 1971年のザルツブルク音楽祭で の演奏会でした。

しかし両者の関係が親密になっていったのは、その次の共演となった 1984 年 5 月のこと。

この時に演奏したブルックナーの交響曲第 8 番の圧倒的な成功

(そして演奏会と並行して行われた ドイツ・グラモフォンへのセッション録音の好評)をきっかけに、

 1996 年までほぼ毎年共演が実現することになり、

その過程でブルックナーの交響曲第 7 番・第 9 番、

ブラームスの交響曲全曲とドイツ・レクイエムの格別な名盤が生み出されることになりました。

中でも、 1984 年から 1988 年にかけて録音されたブルックナーの後期交響曲 3 曲は、

ジュリーニとウィーン・フィルの間の深い敬愛の念に基づく蜜月ぶりを

これ以上ないほど明確に刻印したものです。

 




ジュリーニの貴重なブルックナー     

 

サンタ・チェリーチア音楽院管弦楽団の

ヴィオラ奏者としてキャリアをスターとさせたジュリーニは、

レパートリーが狭いことでも知られ、

新しいレパートリーを取り上げるにあたっても極めて慎重な姿勢を貫きました。

彼の才能をいち早く認め、 1950 年代にフィルハーモニア管弦楽団との録音を手がけた

EMI の名プロデューサー、ウォルター・レッグも

「ジュリーニが最も必要としたものはレパートリーだった」と書いているほどです。

オペラでもコンサートでも、自分が気に入って 100 %共感できる

ごく限られたレパートリーを繰り返し取り上げ、その過程で類例のないほど作品との深い関係を築き上げ、

唯一 無二の名演を生み出していくのがジュリーニの常でした。

ブルックナーに取り組んだのも 60 歳代になってからのことで、

 1974 年に交響曲第 2 番と第 9 番、 1978 年に第 8 番、 1981 年に第 7 番を初めて指揮しています。

生涯に指揮し、録音を残したブルックナーの交響曲もこのわずか 4 曲のみでした 。

 





極められた奇跡の第 9 番     

 

交響曲第 9 番には、 1976 年シカゴ響( EMI )、 1988 年ウィーン・フィル( DG 、当盤)、

1996 年シュトッゥト ガルト放送響(ヘンスラー)と、

生前にジュリーニが発売を認めた 3 種類の正規録音が残されています

(その最後の 1996 年シュトゥットガルト放送響との演奏は、リハーサル付きの映像も残されており、

晩年 のジュリーニの丁寧な仕事ぶりが刻み込まれています)。

 

このいずれの録音においても、ジュリーニは 遅めのテンポによる堅固な構成の枠組みの中で、

弦楽パートをレガート主体のフレージングで美しく歌わせ、

決してメロディやハーモニーを途切れさせないことで、

ブルックナーの演奏では珍しいほどの洗練された歌謡性を獲得しています。

中でもウィーン・フィル盤は、 1988 年 6 月 11 日と 12 日に行われ た第 10 回定期公演で収録されたもので、

3 種類の中でも最も演奏時間が長く、 68 分強というこの交響 曲の演奏としては最も遅い部類に属しながらも、

一瞬たりとも緩むことなく極めて高い緊張感が持続した奇跡の名演と称せましょう。

第 1 楽章の虚無を思わせる幽玄な冒頭から、豪壮な第 1 主題提示部、

歌に満ちた第 2 主題、衛星の衝突を思わせる展開部と再現部を経て、

宇宙の鳴動を思わせる極大の音楽が鳴り響くコーダへと、聴きどころが続出します。

 

第 2 楽章スケルツォ主部のレガート奏法も個性 的ですが、

圧巻はブルックナーの万感の思いが込められた第 3 楽章。

破滅的な不協和音によるクライマック スの後に続くコーダは

まさに天上の響きを思わせる崇高さに満ちています。

ウィーン・フィルの強靭かつしなやかな響きが、作品の厳めしさを減退させ、

柔和な表情を絶やさないのもこの演奏の特徴の一つといえるでしょう 。

 

 




最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現     

 

ウィーン・フィルの本拠地ムジークフェライ ンザールでの収録を手掛けたのは、

ドイ ツ・グラモフォンのハンス・ウェーバーとクラ ウス・ヒーマンというヴェテラン・コンビ。

 

ほぼ同時期に同一会場で収録されたカラヤンと ウィーン・フィルの録音が、

各パートの明晰 さをクローズアップしつつ繊細に捉えたサウンドであったのに対して、

このジュリーニ との録音は、飾り気のない生成りの音作りによっており、

トゥッティでの豪快かつ野太い響きはライヴ収録ならではの感興をダイ レクトに伝えてくれます。

 

初出以来何度も再発売されている名盤ですが、今回は初のリマスタリングとなります。

 今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、

これまで同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業 が行われています。

特に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整された ESOTERICの最高級機材を投入、

また MEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

 

 




「真に壮大で奥行きの深い響き」     

 

「第 1 楽章、第 3 楽章は前のシカゴ響との録音よりかなり遅いのだが、

そのほとんど極限とも思えるほど遅いテンポで運ばれる演奏がもたらす味わいの豊かさと深さは格別のものがある。

それはジュリーニの 演奏が堅固な造型感覚を土台にした厳しい表現意欲に貫かれているからにほかなるまい。

弦楽器を 主体にした響の明晰さもジュリーニ独特のものであり、

その微妙な陰影を湛えた音色と表情も美しく、

この交響曲にかつて例のない新鮮な魅力をもたらしている。」

 『 ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』、 1998 年)

 

「ウィーン・フィルから真に壮大で奥行きの深い響きを引き出せる指揮者は、

現在では本当に少なくなってしまったが、ジュリーニこそまさにそれができる稀なひとりであった。

この演奏を聴いていると、ブルックナーが心から願っていた壮大な宇宙的響きとは何か 、

そこから醸し出される精神性や宗教性とは何か、つまり彼が遺言として残したかった世界はどのようなものかが、

圧倒的な説得力を持って迫ってくる。最後に深く大きな感銘を心に残す名演だ。」

 (『最新版クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編[上]』、 2015 年)

 



■収録曲

アントン・ブルックナー

交響曲 第 9 番 ニ短調

 [1] 第 1 楽章:荘重に、神秘的に

 [2] 第 2 楽章:スケルツォ 動きをもって、生き生きとートリオ 速く

[3] 第 3 楽章:アダージョ ゆっくりと、荘重に

 

[録音] 1988 年 6 月、

ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ・レコーディング

 

[初出] 427 345 - 2 ( 1989 年)

[日本盤初出] F00G20400 (1989 年 7 月 25 日 )

[オリジナル・レコーディング]

[エクゼクティヴ・プロデューサー]ギュンター・ブレースト

 [レコーディング・プロデューサー]ハンス・ウェーバー

 [バランス・エンジニア]クラウス・ヒーマン

 [エディテイング]ラインヒルト・シュミット、アンドルー・ウェドマン

[ Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[ Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 杉本一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

[ Super Audio CD オーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説] 諸石幸生 根岸一美

 [企画・販売] エソテリック株式会社

 [企画・協力] 東京電化株式会社