SACD ハイブリッド

このウィーン・フィルの響きは、ベーム晩年の完熟の輝きそのもの 。    

 
ベートーヴェン:交響曲第 6番「田園」

シューベルト:交響曲第 5番

カール・ベーム(指揮)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 

価格:3,611円(税別)
ESSG-90191[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

12月10日発売予定、予約受付中!



■ドイツ・オーストリア音楽の本質を真っ正直に伝えるベーム  

 

生前はウィーン・フィルやベルリン・フ ィルから神のように崇められ、

カラヤンと人気を二分したオースト リアの名指揮者カール・ベーム( 1894 - 1981 )。

 

音楽を流麗に磨き上げるカラヤンの派手な音楽作りと比 べて、

素朴で質実剛健・愚直なまでに音楽に忠実なベームの音楽は、

ドイツ・オーストリアのクラシック 演奏の本質を伝えるものとして高く評価されていました。

 

1970 年代以降、つまりベーム 70 代後半から 80 代にかけての晩年の 10 年間は、

クラシック音楽の伝統の守護神としての存在感を増し、

特に日本 においては 3 度の来日公演の絶賛とも相まって、

急激にその評価と人気を高 めていった時期でもありました。

そのベーム生涯最後の 10 年間の冒頭と最後期に録音された 2 曲をカップリングしたのが当ア ルバムです。

 




1970 年代、ベーム晩年の輝きを刻印した名演     

 

1970 年代のベームは録音面でも充実の極みにありました。

1930 年代の SP 時代以来長い盤歴を誇る ベームでしたが、意外なギャップも多く、

70 年代はそれらのギャップを埋めていく時代でもありました。

 

オーケストラも 60 年代に数多く録音したベルリン・フィルに代わってウィーン・フィルが起用されるように なり、

ブルックナーの交響曲第 3 番・第 4 番・第 7 番・第 8 番、ブラームスの交響曲全集、

ドヴォルザー ク:新世界、 R. シュトラウス「英雄の生涯」、 J. シュトラウス:ワルツ集、

ワーグナー:管弦楽曲集、モーツァ ルト「レクイエム」とベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」の

ステレオ再録音などはその一例ですが、この充 実の 10 年間の劈頭を飾ったのが

1970 年〜 72 年にかけて録音されたウィーン・フィルとの「ベートー ヴェン:交響曲全集」でした。

 

ベートーヴェン生誕 200 年の 1970 年に録音された第 5 番と第 9 番で開 始され、

翌 71 年の第 6 番「田園」、そして 72 年 9 月に残りの 6 曲が一挙 に収録されて完結したこの全集は、

 1973 年のドイツ・グラモフォン創立 75 周年を記念するアニヴァーサリー・エディションとして

ハイ ドンからシベリウスにいたる 10 人の作曲家の交響曲全集(または選集)の一環として

同社入魂の企画 でもありました。またこのベームのベートーヴェン全集は、(わずかの例外を除き)

 60 年代を通じて強力 な専属契約に縛られていたデッカ・レーベルのみに録音を行っていた

ウィーン・フィルが、初めてドイ ツ・グラモフォンに録音するプロジェクトでもあり、

その意味でも歴史的な意味合いを持つ録音となった のでした 。

 

 





ベーム唯一の録音となった「田園」     

 

1971 年 5 月録音の第 6 番「田園」は、この全集の 9 曲中最も高く評価されてきた演奏です。

不思議な ことにベームにとってはこの曲生涯唯一のセッション録音となったものですが、

スケール雄大な構想の 中で、過度な表情付けを排しむしろ淡々と歩みを進めることで

かえってウィーン・フィルの持つ圧倒的 な美感を引き出し、

ひいてはそれが作品の本質を突くという高度な次元での名演が実現したのでした。

 

デッカ時代のゾフィエンザールで収録された明晰・明解な、

しかし雰囲気に欠けるオンマイクの音作り に比して、録 音場所をムジークフェラインザールに移し、

その美しい残響を採り入れることで光輝を増 した、魅力あふれるウィーン・フィルのサウンド が、

質実剛健を貫くベームの解釈に微笑みを加えてい るかのようです 。

 



ノスタルジックなシューベルトの第 5 番       

一方 1979 年暮れに録音されたシューベルトの交響曲第 5 番は、

ベーム晩年の 10 年間の最後の時 期の記録で、

初出は凄絶な演奏であるがゆえにベームの隠れた名盤として知られる

1978 年録音の シューマンの交響曲第 4 番でした。

 

ベームがこのシューベルト若書きの佳品を初めてウィーン・フィル で演奏し たのは

第 2 次大戦中の 1943 年のことで、その後 44 年、 53 年、 65 年、 67 年、 78 年と取り上 げ、

 55 年にはデッカにモノラル録音も残しています。 71 年のベートーヴェン「田園」と比べると、

よりゆっ くりとした歩みの中で老巨匠がまるで過去を振り返るようなノスタルジックな趣さえたたえ、

「田園」の時 よりもより近接したサウンド・イメージで捉えられた、ウィーン・フィルの艶のある弦楽パート、

チャーミン グな木管が花を添えます。ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団のステレオ録音と双璧を成す

 懐古主義的な名演ともいえましょう 。

 

 



最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現      

録音を担ったのはドイツ・グラモフォンのベテラン、ギュンター・ヘルマンス。

客席が空だと残響が多く、 セッション録音は必ずしも容易ではない

ムジークフェラインザールの響きの本質をとらえる手腕はさす がといえましょう。

 

「田園」の時はオーケストラ全体の響きをやや遠めの距離感で見通せるような音作り をしたかと思いきや、

シューベルトの第 5 番ではより近めの響きを取り入れることで作品の持つ親密さを 自然に醸し出すなど、

ベテランならではの仕事ぶりが刻まれています。 2 曲 のうち特に「田園」は、

定評 ある名盤だけに CD 時代初期に CD 化されて以来、カタログから消えたことがなく、

1995 年には Original Image Bit Processing ( OIBP )方式でリマスターされた

DG オリジナルスにも組み込まれていま した。

シューベルトの第 5 番はその 95 年のオリジナルス発売時にカップリングされたことがあり、

それ以 来このカップリングで再発売されていますが、

DSD リマスタリングによる Super Audio CD 化は初めてで す。

 

今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、

これまで同様、使用するマスターテープの 選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

特に DSD マスタリングにあたっては、 DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整さ れた ESOTERIC の最高級機材を投入、また MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジ ナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました 。

 

 



「第 2 楽章の比類ない美しさ ーー これを凌駕する演奏など皆無」     

 

「ゆっくりとしたテンポで、どこにも競 ったり意気込んだところがなく、悠々自適、

作品をじっと見つめて その仕上げを楽しんでいるような演奏ぶりである。

いかも全ての構成がすっきりしているのはベーム解 釈が主観に走らず、

常に作品自体を見抜いて客観的な基準に立って行われているからである。」

 (『レコード芸術』 1976 年 4 月号、推薦盤[交響曲全集として])

 

 「ベームとウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集で、これが一番成功している。

第 1 楽章 はやや無造作なくらいのテンポで進むが木管が絶妙に絡み、

スケルツォ〜フィナーレではベームの録 音には珍しくユーモア や指揮者の微笑みさえ感じさせる。

特にフィナーレは、テーマの繰り返しのたび に表情が変化し、

ヴァイオリンが輝きながら田園賛歌を高らかに歌い上げている。」

 (『クラシック・レコード・ブック VOL.1 交響曲編』、 1985 年)

 

 「『田園』は実に素晴らしい。なんのケレン味もなく、そのまま曲と共に遊べる楽しいベートーヴェンだ。

特に弦のソフトな響きがいかにもウィーンを感じさせる第 2 楽章(管の響きも全く素晴らしい)、

力を抜か ずに十分の感謝を歌って大きく進む終楽章は実に楽しい。」

(『レコード芸術・別冊 Classic CD Catalogue ‘ 89 』、 1989 年 )

 

「ベームとウィーン・フィルが絶頂期を迎えていたころの録音である。飾り気のない実直な演奏で、

楷 書体的ともいえる全体の曲運びはベートーヴェンの音楽構造を偏りなく明らかにしている。

ベームのつ くる音楽的骨組みにウィーン・フィルの弦や管の音色やハーモニーの美しさが

血と肉を与えていると 言っていいかもしれない。テンポは全体として遅いが、

リズムとアーティキュレーションが明確なベーム の棒は曲自体を弛緩させることが全くない。」

(レコード芸術選定『クラシック不滅の名盤 1000 』、 2007 年[交響曲全集について])

 

「《田園》という曲がベームの資質に見事なまでに相応していたことはいうまでもない。

オーケストラが ウィーン・フィルであったこともその融合性を高める結果となっており、

望みうる最良にして最適の演奏 であったことは疑いない。

ベームのアプローチはあくまで音楽の構造や構成をしっかりと整え、

バランス感のある安定したドライビングがベースにある。第 2 楽章の比類ない美しさなど、

これを凌駕する演 奏など皆無のように思えてくる。」

( ONTOMO MOOK 『クラシック名盤大全 交響曲編』、 19 98 年)

 



■収録曲

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

交響曲 第 6 番 へ長調 作品 68 《田園》

 [1] 第 1 楽章:田舎に到着したときの朗らかな感情のめざめ(アレグロ・マ・ノン・トロッポ)

 [2] 第 2 楽章:小川のほとりの情景(アンダンテ・モルト・モッソ)

 [3] 第 3 楽章:農民の楽しい集い(アレグロ)

 [4] 第 4 楽章:雷雨、嵐(アレグロ)

[5] 第 5 楽章:牧人の歌、嵐のあとの喜ばしい感謝の感情(アレグレット)

 

 フランツ・シューベルト( 1797 ‐ 1828 )

交響曲 第 5 番 変ロ長調 D.485

 [6] 第 1 楽章:アレグロ

 [7] 第 2 楽章:アンダン テ・コン・モート

[8] 第 3 楽章:メヌエット(アレグロ・モルト)〜トリオ

[9] 第 4 楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ

 

 [録音] 1971 年 5 月 (※24 日〜 26 日) (ベートーヴェン)、

 1979 年 12 月 (※18 日& 22 日) (シューベルト)、ウィーン、ムジーク

フェライン大ホール

※の日幅は国内盤 LP の表記です。今回のジャケット表記は月までです。

 

 [初出] ベートーヴェン 2530 142 ( 1971 年)、 シューベルト 2531 279 ( 1980 年)

[日本盤初出] ベートーヴェン MG2317 (1972 年 3 月 ) 、 シューベルト 2 8MG0015 (1981 年 2 月 28 日 )

 [オリジナル・レコーディング]

[エクゼクティヴ・プロデューサー]

ハンス・ヒルシュ博士 / エレン・ヒックマン博士(ベートーヴェン)、ヴェルナー・マイヤー (シューベルト)

[レコーディング・プロデューサー] ヴォルフガング・ローゼ(ベートーヴェン)、ヴェルナー・マイヤー(シューベルト)

 [バランス・エンジニア] ギュンター・ヘルマンス

 [ Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[ Super Audio CD リマスタリング ・エンジニア] 杉本一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

 [ Super Audio CD オーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 岡本 稔

 [企画・販売] エソテリック 株式会社

[ 企画・協力 ] 東京電化株式会社