SACD ハイブリッド

クライバー最後のセッション録音となった

空前の「トリスタン」が、世界初 Super Audio CD ハイブリッド化。   

 
ワーグナー:楽劇 「トリスタンとイゾルデ」 (全曲)

ルネ・コロ( T )、

マーガレット・プライス( S )、

クルト・モル( Bs )、

ディート リヒ・フィッシャー = ディースカウ( Br )、

ブリギッテ・ファスベンダー( A )

カルロス・クライバー(指揮)

シュターツカペレ・ドレスデン・ライプツィヒ放送合唱団

価格:10,833円(税別)
ESSG-90183/85[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



■クライバー最後のセッション録音にして、クライバーが指揮した唯一のワーグナー  

 

録音嫌いで知られたカルロス・クライバー( 1930 - 2004 )が

正規のセッション録音で残したオペラ全曲盤はわずか 4 つ。

そのうち最後のセッション録音となったのが、

1980 年から 1982 年にかけて 3 年がかりで収録された

ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」です。

 

クライバーが初めて「トリスタン」を指揮したのは

シュトゥットガルト・オペラ時代の 1969 年 9 月のことで、

故ヴィーラント・ワーグナーの演出プランと舞台装置をもとに、

トリスタン役のヴォル フガング・ヴィントガッセンが演技指導をする形での新演出で、

ヴィントガッセンのほかイングリット・ ビョーナー、オットー・フォン・ロール、グスタフ・ナイトリンガーら

当時の名歌手を揃えた公演は絶賛を浴びました。

 

1973 年にはウィーン国立歌劇場に「 トリスタン」でデビュー、

さらに翌 1974 年から 1976 年にかけてはバイロイト音楽祭でも「トリスタ ン」を指揮するなど、

このオペラは、「ばらの騎士」、 「オテロ」、「椿姫」などと並んで、

1970 年代のクライバーにとっては必ず成功を収めることのできる

十八番ともいえる代表作となりました。

 

そうした状況を受けて、ドイツ・グラモフォンは

バイロイト音楽祭などでのライヴ収録を提案したものの、

長時間の公演での歌手の疲労やオーケストラとの不十分な

バランスなどを憂慮したクライバーの同意を得ることができず、

最終的には、クライバーが 1973 年に 「魔弾の射手」で

初めてセッション録音を手掛けた時のパートナーである名門オーケストラ、

シュターツ カペレ・ドレスデンを起用し、セッション録音のプロジェクトとして実現したのです。

 




意外なイゾルデ役の選択も含め、当時最高のキャストが集結     

 

キャストもクライバーの希望で綺羅星のごとき名歌手が結集しています。

トリスタンにはちょうど同役を手掛け始めていた

ルネ・コロ、マルケ王には既にバイロイト音楽祭でクライバーと共演していた

クルト・ モル、ブランゲーネにはミュンヘンの「ばらの騎士」や「こうもり」で

クライバーの盟友だったブリギッテ・ ファスベンダー、クルヴェナールには

伝説的なフルトヴェングラーの「トリスタン」全曲盤にも参加してい た

ディートリヒ・フィッシャー = ディースカウが起用されるなど文字通り完璧な布陣。

 

往年の名テノール、 アントン・デルモータが第 3 幕に登場する

牧童というチョイ役でカメオ的に出演しているのも印象に残ります。

歌手の選択で意外だったのは、クライバーがイゾルデ役に、

モーツァルト歌手として一世を風靡していたマーガレット・プライスを敢えて起用したことでしょう。

イゾルデ役はもちろんのこと、ワーグナーのオペラとも縁がなかったプライスは、

既成概念に縛られず、ピュアでのびやかかつ情熱的な声と明確なドイツ語のディクションとで、

クライバーの望む通りのイゾルデ像を描き出しています。

 

 





大歌手も納得したクライバーの演奏解釈     

 

クライバーはセッション前にオーケストラだけのリハーサルを 10 回要求するなど万全を期し、

歌手、合 唱団とも綿密なピアノ・リハーサルを重ねてセッションに臨み、

クルト・モルは「クライバーはこの作品のあらゆる細部まで知り尽くし、

細かく分析的なリハーサルを積み重ねていったのですが、その結果は頭ではなく、

あくまでも心と感情から出た音楽になったのです」とその音楽作りに共感を寄せ、

さらに大ヴェテランのフィッシャー = ディースカウも「これは、私の生涯で、

本当の意味でリハーサルをすることが できる指揮者と共演した最後の機会でした。

リハーサルで指摘されるあらゆることが大切だと実感できたのです」と

振り返るほどの充実度を感じていました。

 

史上初の「トリスタン」全曲録音となったフルトヴェングラー盤以来、

ショルティ、ベーム、カラヤン、バーンスタインら、

20 世紀の名だたる名指揮者たちが

それぞれの個性を傾注してこのオペラの名盤を刻んできましたが、

その中でも オーケストラと歌手 の充実度、

そしてこのオペラの底知れぬ深みを優秀なサウンドで捉えた全曲盤として、

このクライバー盤は一頭抜きん出た存在感を示しています。

 

 




ルカ教会での優秀デジタル録音     

 

録音が行われたドレスデンのルカ教会は、

19 世紀末から 20 世紀初頭にかけて建立され、

第 2 次大 戦中のドレスデン爆撃によって大きな打撃を受けたものの、

1950 年代後半からはオーケストラの練習及び録音に用いられるようになり、

1960 年代からは録音用スタジオとしての機能が段階的に整備され、

ヨーロッパ随一の録音会場として知られるようになりました。

 

教会といっても現在の内装は明るくモダンで、響きもクリアで明澄、過度な残響もなく、

大規模なオーケストラやオペラの録音でもサウンドが混濁 しないため、

東ドイツが共産主義時代だったからさまざまな録音に起用されてきました。

 

このクライバー の「トリスタン」でもその伝説的なサウンドは健在で、

歌手の歌唱の背後に大きく広がる深みを湛えた オーケストラは、

決して各パートの明晰さを失わず、クライバーの要求する幅広いダイナミックス

(特に 弱音の領域の表現の精緻さが捉えられているのは

デジタル録音ならでは)を申し分なく捉えています。

 第 1 ヴァイオリンを左側、第 2 ヴァイオリンを右側に分け、

その間にヴィオラとチェロ、中央奥にコントラバスを置くという独特のオーケストラ配置は

晩年のクライバーがこだわったものでした。

 

デッカのオペラ 録音などでよく用いられた(同時発売されるカラヤンの「オテロ」でも顕著)、

登場人物の舞台上での動 きを音化したり、効果音や空間性を誇示したりすることもなく、

固定化した音像に終始するのも、かえってこの「トリスタン」というオペラには相応しく、

音楽そのものの深みに思う存分浸りきることができます。

 

 




音楽の流れを途切れさすことなく、最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド 化が実現      

 

この「トリスタン」は当初LP 5 枚組で発売されましたが、

音楽の流れを途切れさせたくないというクライバーの「強い希望によって」、

各面の切れ目はフェイドイン / フェイドアウトで処理されていたのも異例で した。

1986 年に CD 化された時には 4 枚に切られ、その処理が踏襲されましたが、

その後 DG Originals での OIBP マスタリング盤では各幕をディスク 1 枚に収める編集がなされ、

クライバーの希望通り、途切れることなくこのオペラを味わうことができるようになりました。

 

今回の Super Audio CD ハイブリッド化に 当たっては、

これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターテープの選定から、

最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

特に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターとに、

入念に調整されたエソテリック・ブランド の最高級機材を投入、

また同社の MEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

 

 



「空前の《トリスタン》がここにある」     

 

「マーガレット・プライスのイゾルデが素晴らしい。

強くはあっても、暗くも重くも太くもないプライスの声が、

クライバーのもとでイゾルデを歌ことによって、

最大限生かされている。モルのマルケ王もいいし、 コロのトリスタンもいいが、

その持ち前の声を活かして完璧にうたったプライスの素晴らしさにはおよば ない。」

 (『クラシック・レコード・ブック 1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』、 1986 年)

 

 

 「引き締まった力によって音楽の最深部にまで精妙な光を当て た点で、

カルロス・クライバーの演奏は すぐれてユニークである。

この楽劇の官能性やロマンティックな情感をしなやかに抑えて、

愛の悲劇を厳しいまでの美しさをもって鋭く浮き彫りにしており、

しかも、その底には、あくまで澄んだ情熱が燃え ている。

マーガレット・プライスをイゾルデ役に起用したのも、

そうした澄んだ陰翳の深さと品格を演奏に求めたからだろう。

そのプライスをはじめ、ルネ・コロのトリスタン、クルト・モルのマルケ王も立派である。」

(『 ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペ ラ・声楽曲編』、 1998 年)

 

 「クライバーの《トリスタン》は、内側へ、下方へと沈んでゆく。

激しく情念や官能性を噴出させるのとは 全く逆の方向を持っている。

エネルギーは凝縮されていくことで高まる。

この驚異的な作品の、ドラマと 音楽との基本構造にかなっているというべきかもしれない。

劇場においてはためらわずに力を解放させ、拡大する渦の中に聴く者を巻き込んだクライバーは、

この録音でそれとは異なる演奏を行った。しかし凝縮されていくエネルギーは、

解放以上に聴く者をとらえる。空前の《トリスタン》がここにある。

プライスのイゾ ルデ、コロのトリスタンなど、歌手たちの歌は優れているだけでなく、

指揮者の音楽に見事に 合致している。」

 (『クラシック不滅の名盤 800 』、 1997 年)

 

「クライバーの指揮でうたっているときは

「天に昇っていけるし、地獄に堕ちることだってできる」と言ったのは、

確かコトルバスだったが、プライスもそうだったのだろうと思わせるほど、

このイゾルデは素晴らしく、そして美しい。コロのトリスタンをはじめ共演者たちも非常に充実しているが、

何よりも素晴らしい のはプライスを起用したクライバーの慧眼と指揮である。」

 (『クラシック不滅の名盤 1000 』、 2007 年)

 



■収録曲

 

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」(全曲)

3 幕の劇 / 台本:リヒャルト・ワーグナー

 

 [配役]

トリスタン ルネ・コロ(テノール)

イゾルデ マーガレット・プライス(ソプラノ)

ブランゲーネ ブリギッデ・ファスベンダー(アルト)

マルケ王 クルト・モル(バス)

クルヴェナール ディートリッヒ・フィッシャー = ディースカウ(バリトン)

 メロート ヴェルナー・ゲッツ(テノール)

舵取り ヴォルフガング・ヘルミヒ(テノール)

 若い水夫 エーバーハルト・ビュヒナー(テノール)

牧童 アントン・デルモータ(テノール)

 

歌唱指導:ヘルムート・ヴィーゼ

 

ライプツィヒ放送合唱団 (合唱指揮:ゲアハルト・リヒター)

 シュターツカペレ・ドレスデン

指揮:カルロス・クライバー

 

[トラックリスト]

 [DISC1]

 [1] 前奏曲 第 1 幕

 [2] 第 1 場 「西の方へ目は向くが」(若い水夫、イゾルデ、ブランゲーネ)

[3] 第 2 場 「さわやかな風は故郷へと吹いて行く!」

(若い水夫、イゾルデ、ブランゲーネ、クルヴェ ナール、合唱)

 [4] 第 3 場 「ああ,何ということを!」(ブランゲーネ、イゾルデ、合唱)

[5] 第 4 場 「さあ!ご婦人がた」(クルヴェナール、イゾルデ、ブランゲーネ)

[6] 「トリスタン様お入りください!」〜第 5 場 「お姫様,おっしゃって下さい,何をお望みですか」

 (イゾルデ、トリスタン、合唱)

[7] 第 5 場 「トリスタン!」「イゾルデ!」「不実にして優しき人」

 (イゾルデ、トリスタン、合唱、ブランゲーネ、クルヴェナール)

 

[DISC 2]

 [1] 前奏曲 第 2 幕

 [2] 第 1 場 「狩の物音がまだあなたに聞こえる?」(イゾルデ、ブランゲーネ )

 [3] 第 2 場 「イゾルデ!愛する人よ!」「トリスタン!愛する人よ!」(トリスタン、イゾルデ)

 [4] 「おお,降り来よ,愛の夜を」(トリスタン、イゾルデ)

[5] 「寂しく私が見張るこの夜に」(ブランゲーネ)

 [6] 「聞いてください,恋人よ!」(イゾルデ、トリスタン)

 [7] 「けれども私たちの愛は」(イゾルデ、トリスタン)

 [8] 「こうして私たちは死ねばよい」(トリスタン、イゾルデ、ブランゲーネ)

 [9] 第 3 場 「お逃げなさい,トリスタン様!」(クルヴェナール、トリスタン、メロート)

 [10] 「本当に守ったのか?」(マルケ王)

 [11] 「王よ,それには答えられませ ん」(トリスタン、イゾルデ、メロート)

 

 [DISC 3]

 [1] 前奏曲 第 3 幕

 [2] 第 1 場 シャルマイ(牧笛)の音

[3] 「クルヴェナールよ!クルヴェナールよ!」(牧童、クルヴェナール、トリスタン)

 [4] 「どうしてここへですって?」(クルヴェナール、トリスタン)

 [5] 「まだ光は消えなかった」(トリスタン、クルヴェナール)

 [6] 「まだ船は見えません!」(クルヴェナール、トリスタン)

 [7] 「死んだのですか?生きているのですか?」(クルヴェナール、トリスタン)

 [8] 第 2 場 「この太陽!この昼!」(トリスタン、イゾルデ)

 [9] 「ああ!私です,私です, あなたが愛するイゾルデです」(イゾルデ)

[10] 第 3 場 「クルヴェナールよ!もう一隻船が」

(牧童、クリヴェナール、舵取り、ブランゲーネ、メロート、マルケ王)

 [11] 「穏やかに,静かに,彼が微笑み」(イゾルデの愛の死)(イゾルデ)

 

 [録音]

 1980 年 8 月 26 日、 27 日、 29 日、 31 日、 10 月 18 日〜 26 日、

 1981 年 2 月 5 日〜 10 日、 4 月 10 日、 21 日、

 1982 年 2 月 27 日、 4 月 4 日、ドレスデン、ルカ教会

VEBドイッチェ・シャルプラッテン(当時のドイツ民主共和国、ベルリン)との共同制作

 

[初出] 2741 006( 1982 年 )

[日本盤初出] 00MG0440 〜 4(1982 年 12 月 25 日 )

[オリジナル・レコーディング] デジタル・レコーディング

 [プロデューサー] Dr. ハンス・ヒルシュ

 [ディレクター]ハンス・ヴェーバー

[レコーディング・エンジニア]カール = アウグスト・ネーグラー

 [エディター]ヨープスト・エーバーハルト、ライナー・ヘプフナー、ラインヒルト・シュミット

 

 [ Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)

[ Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 杉本一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

 [ Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説]諸石幸生 渡邊 護

 [企画・販売]エソテリック株式会社

 [ 企画・協力 ] 東京電化株式会社