SACD ハイブリッド

シュトラウスが想定した豪華絢爛な

オーケストレーションを最高のサウンドで具現化する

ウィーン・フィルの芳醇な響き。

デッカが持てる最高の技術を投入して捉えきった

千載一遇の名録音。  

 
R.シュトラウス
交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》 作品30

交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの
愉快ないたずら》 作品28

7つのヴェールの踊り(楽劇《サロメ》 作品54より)

交響詩《ドン・ファン》 作品20

 
指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン・ソロ)〔1〕

価格:3,457円(税込)
ESSD-90149[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

SOLD OUT!



一時代を画したカラヤンのデッカ録音プロジェクト


ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989)こそ、

レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って

取り組んだパイオニア的存在であり、

彼が残した録音もSP時代からデジタル録音まで、

膨大な量にのぼります。

 

その長い音楽活動の中でカラヤンが一つの頂点を迎えたのは、

1955年にベルリン・フィルの常任指揮者、

翌1956年にザルツブルク音楽祭および

ウィーン国立歌劇場の芸術監督に就任し、

文字通りヨーロッパ・クラシック音楽界の「帝王」と目されていた時期でしょう。

 

録音面でも、1950年代初頭から継続しているロンドンでの

フィルハーモニア管とのEMIへの録音に加えて、

1959年からはベルリン・フィルとはドイツ・グラモフォンへの、

ウィーン・フィルとはデッカへの録音がスタートし、

ちょうどステレオ録音が導入されて活気付いていた

レコード市場を席巻する形になりました。

中でも、名プロデューサー、ジョン・カルショウとの

コラボレーションによって、ウィーン・フィルと進められたデッカへの録音では、

スタンダードなシンフォニーのみならず、

ホルスト「惑星」のパイオニア的録音も含む

多様なオーケストラ曲や綺羅星のような豪華キャストをそろえた

オペラ全曲盤が続々と生み出されたのです。

 

その中から当シリーズではすでに2010年に

「ドヴォルザーク:交響曲第8番&ブラームス:交響曲第3番」を

Super Audio CDハイブリッド化し、好評をいただきましたが、

今回はその続編として、R.シュトラウスの管弦楽曲集を

1枚にカップリングいたしました。

 
 


ウィーン・フィルとの蜜月を刻印した芳醇な響き  
 
 1959〜60年といえば、

カラヤンとウィーン・フィルとの関係が

急速に接近した時期でもあります。

まずカラヤンは1959年秋の

ウィーン・フィルとの日本も含むアジア、

アメリカ、カナダへの大規模な演奏ツアーに同行、

さらに翌1960年夏のザルツブルク音楽祭では

祝祭大劇場のこけら落としで共演、

また有名な「ばらの騎士」の映像も収録しています。

 

「ツァラトゥストラ」が録音された1959年3月は、

ウィーン国立歌劇場で「オテロ」と「指環」を振り、

さらにウィーン交響楽団と「マタイ受難曲」を取り上げており、

その忙しい演奏活動の合間に録音セッションが行われました。

その他の作品が録音された1960年6月も、

やはりウィーン国立歌劇場における

「トリスタン」、「指環」、「トスカ」などの大作上演が終わった後に

ようやくデッカのセッションが行われ、

レオンタイン・プライスとのクリスマス・アルバムも

同時期に収録されています。

 

9月に国立歌劇場のシーズンが始まると、

オペラ上演と平行して、ウィーン・フィルとは、

ドヴォルザークの第8番やブラームスの第3番、

「くるみ割り人形」、「ペール・ギュント」、「ジゼル」、「惑星」など、

LPにして実に5枚分に相当する

録音を集中的に行なっています。

 

カラヤンにとっては初録音となった

「ツァラトゥストラ」をはじめとするこのR.シュトラウスの

作品集にもこうした蜜月ぶりが存分に反映しており、

カラヤンの颯爽たる指揮に敏感に反応し、

濃厚な響きで応じるウィーン・フィルの魅力が

余すところなく捉えられています。





「レコード芸術」としての録音に精通していたカラヤン     
 
 カルショウ自身の回想によると、

「ツァラトゥストラ」で重要な役割を果たすオルガン・パートは、

ゾフィエンザールにオルガンがなかったこともあり、

オーケストラの録音とは別に、

ウィーン郊外のノイシュタットにある

軍用の教会で行われました。

 

しかもオルガン・パートを弾いたのは

カルショウのアシスタントをつとめていたレイ・ミンシャルで、

あらかじめ録音されていたオーケストラ・パートに

ピッチをあわせるのに苦労し、

わずか1〜2分のオルガン・パートを録音するのに

6時間もかけています

(カルショウの著書『レコードはまっすぐに』による)。

 

このように特殊楽器のパートを

別途録音してミックスすることは、

現在では特に目新しいことではありませんが、

この「ツァラトゥストラ」のセッションでも、

カラヤンはそのことに特に抵抗を感じることなく録音を進めており、

彼がこのステレオ初期の段階ですでに

「レコード芸術」としての録音というテクノロジーに

精通していたことをうかがわせます。

 

またこの「ツァラトゥストラ」は、

スタンリー・キューブリック監督の

映画『2001年宇宙の旅』(1968年公開)で

使用された音源であるにもかかわらず、

デッカ側がアーティスト名/レコード会社名は

クレジットされないことを使用許諾の条件としたため、

映画のエンドロールを見ても

カラヤンの演奏である旨が

判らなかったことも知られています。




最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
  
 
デッカが1950年代半ば以降

ウィーン録音の根城としたゾフィエンザールは、

響きの多さのみならず、

演奏会に多用され録音のためには

確保しにくいムジークフェラインとは違って、

細部の音に至るまで明晰に収録しようとする

同社の録音ポリシーには理想的な会場で、

そこでの録音は、オーケストレーションの綾や

空間性を生々しく再現する骨太な

デッカ・サウンドの代名詞ともなりました。

 

セッションは、ゴードン・パリーと

ジェームズ・ブラウンがエンジニアを担当し、

各所で花を添えるクラリネットやオーボエ、

ウィンナ・ホルンなど管楽器のソロの魅惑的な音色、

芳醇な弦楽パートの存在感など、

ウィーン・フィルの特徴的な響きを生々しく捉えています。

 

歴史的な名録音だけに、

CD時代初期からリマスターされ、

デッカ・レジェンドによる24bit/96kHzリマスター盤のほか、

2010年にはSuper Audio CDシングルレイヤーでも

発売されてきましたが、

今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、

これまでのESOTERIC企画同様、

使用するアナログ・マスターテープの選定から、

デジタルへのトランスファー、

そして最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。

 

特にDSDマスタリングにあたっては、

DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整されたESOTERICブランドの最高級機材を投入、

またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、

貴重な音楽情報を余すところなく

ディスク化することができました。




「若いカラヤンの意欲がはっきりと出ている」     

 「ここには若い時代のカラヤンの面目があり、

強引なくらいに自分の側にオーケストラを引き寄せ、

好んで粘り気味の表情をつくりだすという姿勢がある。

そしてカラヤンはまた、

そうした表情の中でクライマックスをつくるうまさも見せる。

その後のカラヤンのもののような相当に効果を

意識した精緻な色彩感やテンポの動きはないにしても、

若いカラヤンの意欲がはっきりと出ているところが面白い。」

(『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1管弦楽曲編』1985年)

 


■収録曲

リヒャルト・シュトラウス

 

1.交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》 作品30

 

1. 導入部(日の出)

2. 後の世の人々について

 3. 大いなる憧憬について

4. 歓喜と情熱について

5. 埋葬の歌

6. 科学について

7. 病より癒え行く者

 8. 舞踏の歌

 9. 夜のさすらいの歌

 

2.交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》 作品28

3.7つのヴェールの踊り(楽劇《サロメ》 作品54より)

4.交響詩《ドン・ファン》 作品20


[演奏]

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ウィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン・ソロ)〔1〕

指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン


[録音] 1959年3月(1)、1960年6月(2-4)、

ウィーン、ゾフィエンザール

 

[LP初出] SXL2154(1)、SXL2261(2、3)、SXL2269(4)

[日本盤ステレオLP初出]

SLB12(1/1959年9月)、SLC1060 (2、3/1960年12月)、SLC1080(4/1962年2月)

 

[オリジナル・レコーディング] [プロデューサー] ジョン・カルショウ

[レコーディング・エンジニア] ジェームズ・ブラウン、ゴードン・パリー

[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家

(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

 

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

解説] 諸石幸生 長谷川勝英

[企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社