SACD ハイブリッド

ウィンナ・ワルツの伝統を20 世紀に継承し、
その粋を伝え続けた名匠ボスコフスキー。
その最上の名演・名録音を選りすぐって特別編集。
黄金時代のデッカ・サウンドの最上の記録
初のSuper Audio CD ハイブリッド化。
 
 

シュトラウス・コンサート
 
ウィリー・ボスコフスキー(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


価格:3,143円(税別)
ESSD-90129[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!

ウィーンの粋を体現したボスコフスキー

   ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの指揮者として、
四半世紀にわたって「ウィーンの新年の顔」だった
ウィリー・ボスコフスキー(1909.6.16〜1991.4.21)。

ウィーン音楽アカデミーで学び、
生粋のウィーン楽派を受け継いだソロ・ヴァイオリニストであったのみならず、
ウィーン・フィルのコンサートマスター(1939〜1970)、
弟でクラリネット奏者だったアルフレートと組織した
ウィーン八重奏団など室内楽での活動、そして何といっても
ヨハン・シュトラウスをはじめとするウィンナ・ワルツやポルカの演奏に、
ウィーン子ならではの伝統と粋を伝え続けた指揮者として、
大きな足跡を残しています。


 

アナログ時代のヨハン・シュトラウスといえばボスコフスキー/ウィーン・フィル  
 
 ボスコフスキーが、ニューイヤー・コンサートの創始者であった
指揮者クレメンス・クラウスの急逝を受けて、
同コンサートを指揮するようになったのは1955年のこと。
それ以来、1979年までちょうど25年間、
ウィーンの華やかな新年を告げるこの特別な演奏会の指揮台に立ち続けました。

ボスコフスキーは時に指揮棒をヴァイオリンに持ち替え、
ソリストとしてオーケストラをリードしましたが、
これはヨハン・シュトラウス2世たちが生前に行なっていた演奏スタイルに重なり、
いわば往年のウィンナ・ワルツの演奏の姿を20世紀に蘇らせたものともいえ、
ウィーン新年の名物として大変な人気を博しました。

デッカはそれと並行する形で1957年からボスコフスキーと
ウィーン・フィルによるシュトラウス一家やその周辺作曲家の
ワルツ・ポルカの録音プロジェクトを開始し、
1979年のニューイヤー・コンサートのライヴ録音
(デッカによる初めてのデジタル録音)に至るまで、
LPにして17枚分、全156曲にものぼるアンソロジーを築き上げました。

カラヤン、クリップス、クナッパーツブッシュ(以上デッカ)、
ケンペ(EMI)、ベーム(DG)など、
この時期にウィーン・フィルとウィンナ・ワルツの名盤を残している
指揮者はいるものの、ボスコフスキーほどの規模で継続的に取り組んだ例はなく、
ウィンナ・ワルツやポルカといえばボスコフスキー盤が
最も安心して購入できる定盤として長らく親しまれてきました。


ボスコフスキー自身もこのシリーズについて、
「こうしたワルツやポルカは舞踏会や
エンターテインメント・ショーのために二流の演奏家によって
取り上げられることが多かったため、聴き手も真剣に取り合おうとしなかった。
私たちはそうした不当な扱いからこれらの名品たちを救い出し、
その真の価値を洗い出したのです。
これらの音楽がいかに繊細でしかも楽しいものであるかを
ようやく聴きとっていただけるのです」と語っています。



ショルティの「指環」の制作陣が並行して同一会場で取り組んだ名録音     
 
 ちょうどこの時期は、ステレオの黎明期からデジタルの最初期に当たり、
いわばアナログ録音の技術が格段に進歩し
完成されていくのと期を一にしていました。

それはまた、デッカというレーベルの独特のサウンドや、
実演とは異なる再生芸術としてのレコードという
媒体の在り方がクローズアップされていく時代でもあり、
クラシック録音音楽史上の金字塔であるショルティ指揮の
「ニーベルングの指環」(1958年〜66年)の制作とも重なっていました。

「指環」の録音が行なわれたのと同じウィーンのゾフィエンザールで、
ジョン・カルショーやエリック・スミス、ゴードン・パリーやジェームズ・ロックといった
デッカの名プロデューサー、エンジニアたちが総力を結集して取り組んだ
アルバムであり、演奏・録音面では一切の手抜きが見られない点に
大きな特色があります。


最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
  
 
 当アルバムは、ボスコフスキーとウィーン・フィルが残した
ウィンナ・ワルツとポルカの録音の中から、
最も有名な作品を12曲、今回のために新たに選りすぐったものです。

「美しく青きドナウ」については、
通常のオーケストラ・ヴァージョン(1962年録音)に加えて、
合唱入りのヴァージョン(1973年録音)も収録してあります。

デッカが1950年代半ば以降ウィーン録音の根城とした
録音会場のゾフィエンザールで収録された、ウィーン・フィルの
濃密で個性的な響きを生々しく捉えた骨太なサウンドも聴きものです。

1957年から1976年まで多岐にわたる録音セッションにもかかわらず
全体の音の統一感が成し遂げられているのも、
同一会場での録音の強みでしょう。

歴史的な名盤だけにCD発売初期から
デジタル・リマスター化されていましたが、
今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、
これまでのエソテリック企画同様、
使用するアナログ・マスターテープの選定からデジタルへのトランスファー、
最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、
妥協を排した作業が行われています。

特にDSDマスタリングにあたっては、
DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、
入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、
また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、
貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。



「人生の酸いも甘いも噛み分けた人生の達人から、
この世の生き方を教えられる」
  
 
 
「クラウスの後を継いでウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの
指揮台に立ったのはボスコフスキーである。長い間、
このオーケストラのコンサートマスターとして、
クラウスの棒で弾いていたわけだから、雰囲気も十分に承知しており、
リーダーとして最適の人選だったのだろう。
自らヴァイオリンをもつシュトラウス当時のスタイルによる演奏は、
それなりの味をもつ。
クラウスよりいくぶん硬さがあるようだが、
ウィーン気質・ウィーン情緒は伝わってくる。」
(『クラック・レコード・ブックVOl.5 管弦楽曲編』、1985年)


「ウィンナ・ワルツを指揮するボスコフスキーには
音楽と一体になった喜びがあふれている。
やや速めのテンポ、
軽やかなリズム、そして優美な情感を発散するアーティキュレーションは
ウィーンの人々の生活感情と一致するものであろう。
レコードの演奏にもそれがはっきりと出ていて、
ボスコフスキーの明るい洗練された演奏に引き込まれる。」
(『クラック・レコード・ブックVOl.5 管弦楽曲編』、1985年)


「ボスコフスキーとウィーン・フィルによる演奏は、
いかにも手のうちに入ったという性格のものだ。
彼らの演奏は、現在世界各地に溢れている
ヴィルトゥオーゾ・オーケストラによるモダーンで、
洗練された感覚の演奏とはやや性格を異にしている。
それはもっと素朴で、ゴツイ手触りをしているとでも
形容すればいいのかもしれない。
しかし、そこには他のオーケストラではきけないような
独特の味わい深さがあり、魅力十分だ。」
(『クラック・レコード・ブックVOl.5 管弦楽曲編』、1985年)


「ボスコフスキーは長年ウィーン・フィルの
コンサートマスターをつとめ、ウィンナ・ワルツが
骨の髄までしみ込んだ指揮者だ。
その意味で職人気質のうまさを身につけているが、
決してそれがマンネリにならず、いつも生気を帯び、
そこから生きる喜びが伝わってくる。
リズムは精妙で自在、フレーズの隅々まで血の気が通い、
あたたかみとほほえみ、やさしさと爽快さがひとつとになり、
華麗であると同時に哀感を帯びている。
そして人生の酸いも甘いも噛み分けた人生の達人から、
この世の生き方を教えられる。」
(『クラシック名盤大全 管弦楽曲編』、1998年)




■収録曲

1. 美しく青きドナウ 作品314(合唱付き版)
(ヨハン・シュトラウス2世)

2. アンネン・ポルカ 作品117
(ヨハン・シュトラウス2世)

3. 南国のバラ 作品388
(ヨハン・シュトラウス2世)

4. 常動曲 作品257
(ヨハン・シュトラウス2世)

5. ウィーン気質 作品354
(ヨハン・シュトラウス2世)

6. ピツィカート・ポルカ
(ヨハン2世&ヨーゼフ・シュトラウス)

7. 春の声 作品410
(ヨハン・シュトラウス2世)

8. 皇帝円舞曲 作品437
(ヨハン・シュトラウス2世)

9. ウィーンの森の物語 作品325
(ヨハン・シュトラウス2世)

10. わが人生は愛と喜び 作品263
(ヨーゼフ・シュトラウス)

11. ラデツキー行進曲 作品228
(ヨハン・シュトラウス1世)

12. 美しく青きドナウ 作品314
(ヨハン・シュトラウス2世)


[演奏]

1. ウィーン国立歌劇場合唱団
9. アントン・カラス(ツィター)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ウィリー・ボスコフスキー


[録音]

1, 4. 1973年12月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]クリストファー・レイバーン
[バランス・エンジニア]ゴードン・パリー


2. 1971年4月20日〜22日、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]クリストファー・レイバーン
[バランス・エンジニア]ゴードン・パリー


3, 9. 1962年11月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]クリストファー・レイバーン、エリック・スミス
[バランス・エンジニア]ゴードン・パリー


5. 1957年12月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]ジョン・カルショー
[バランス・エンジニア]ジェームズ・ブラウン、ゴードン・パリー


6, 7, 12. 1959年9月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]ジョン・カルショー
[バランス・エンジニア]ジェームズ・ブラウン


8. 1961年4月24日〜27日、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]エリック・スミス
[バランス・エンジニア]ジェームズ・ブラウン


10. 1976年6月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]ジェームズ・マリンソン
[バランス・エンジニア]ジェームズ・ロック


11. 1962年11月、ウィーン、ゾフィエンザール
[プロデューサー]アンドルー・コーナル、ジェームズ・マリンソン
[バランス・エンジニア]ジェームズ・ブラウン、ゴードン・パリー


[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説] 諸石幸生 満津岡信育

[企画/販売] エソテリック株式会社

[企画/協力] 東京電化株式会社