SACD ハイブリッド

しなやかな躍動感と強靭なリズムに彩られた、
アバド壮年期のストラヴィンスキーの名演2曲

 

ストラヴィンスキー
ペトルーシュカ&プルチネルラ
クラウディオ・アバド(指揮)
ロンドン交響楽団



価格:3,143円(税別)
ESSG-90100[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!




アバドとロンドン響の絶好調を体現した名演

   惜しくも2014年1月20日、80歳で亡くなったイタリアの名指揮者クラウディオ・アバド(1933-2014)。前回のドイツ・グラモフォン原盤の「ジルヴェスター・コンサート」に続き、
アバド壮年期の名演として知られるストラヴィンスキーのバレエ音楽2曲を
世界で初めて(※)Super Audio CDハイブリッド化いたします。

 アバドは、1979年から1988年まで、アンドレ・プレヴィンの後任としてロンドン交響楽団の首席指揮者・音楽監督を務めています。前任者プレヴィンが育成した同響の充実ぶりを
引き継ぎ、より一層の精緻さを加え、ロンドン随一のアンサンブルへと発展させました。

 アバドとロンドン交響楽団の録音は1960年代にデッカとドイツ・グラモフォンで始まっていますが、1970年代にはほぼ完全にドイツ・グラモフォンに移行し、ペルゴレージからベルクにいたる幅広いレパートリーで数々の名演を残しています。

 今回Super Audio CD化されるのは、1978年と1980年に録音されたストラヴィンスキーのバレエ音楽2曲です。

※2014年5月現在
  

 


最も純音楽的で洗練度の高いストラヴィンスキー演奏  
 
アバドは1970年代に入り、ロンドン響を指揮して、「火の鳥」組曲(1972年)、「かるた遊び」(1974年)、「春の祭典」(1975年)、「プルチネルラ」(1978年)、「ペトルーシュカ」(1980年)と、LPにして4枚分の録音を行ないました。

 ちょうど1970年代は、リズムも複雑でオーケストラの色彩感を生かしたストラヴィンスキーのバレエ作品が若手指揮者の試金石のように考え始めた時期で、アバドのほかにもムーティ、メータ、マゼール、マータ、小澤征爾、レヴァインなどの新世代の指揮者たちが充実した名盤を生みだした時期でもありました。

 その中でもアバドとロンドン響によるストラヴィンスキー録音は、千変万化する複雑なリズムの緻密なエクセキューション、完璧に統御されたオーケストラ・バランス、鮮やかな色彩感、そして何よりも、しなやかで柔軟性に富んだ身のこなしによって、ストラヴィンスキーのバレエ曲の最も純音楽的で洗練度の高い演奏の一つとして高く評価され、ジャケットの
サイケデリックなイラストとともに音楽ファンに強い印象を残しています。



最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現    
 
 1980年収録の「ペトルーシュカ」は、4管編成の1911年版のスコアを用いており、楽器の数が多い分、色彩感が増しています。イギリスの名うての奏者が顔を揃えていた管楽・金管パートの充実ぶりが耳を惹き、名手レスリー・ハワードのピアノが花を添えています。

 しかも最初期のデジタル録音であるため、アバドが指向する細部の明晰さ・透明度が一層クリアに表現されている点も大きな特徴です。一方、当時頂点を極めていたアナログ方式によって1978年に収録された「プルチネルラ」は、通常よく演奏される組曲版ではなく、歌が含まれる全曲版であることも大きな特色です。
 
 大編成の「ペトルーシュカ」とは異なり、室内オーケストラと3人の歌手が起用されています。メッゾ・ソプラノのパートに「プルチネルラ」の録音と同じころにアバドが録音した「カルメン」で素晴らしい題名役を披露したテレサ・ベルガンサが起用されているのが聴きものと言えるでしょう。

 「ペトルーシュカ」はウォルサムストウ・タウン・ホールで収録されており、ヘンリー・ウッド・ホールと並びロンドンで最も優れた音響を誇る録音会場としてのバランスのよさが聴きものです。一方「プルチネルラ」は、小編成ゆえにヘンリー・ウッド・ホールのリハーサル・ルームという珍しい会場が使用されています。編成や会場の違い、デジタルとアナログなど、さまざまな差異を1枚で楽しめるディスクと言えましょう。


 今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。



『常に生命力に溢れ、エネルギーが躍動している』    
 
 「アバドはぼてっと肉のついた響きを嫌う。そのために、アバドによって指揮されたオーケストラは、いつでも細く、しかも鋭い響きをもたらす。このレコードで取りあげられている作品の性格を考えれば、そのような響きがいかに有効かが、おのずとあきらかになるであろう。情熱の火照りを削ぎ落としたところでなりたっていて、にもかかわらずひどく人間臭いドラマの展開されるこのストラヴィンスキーの作品の微妙さを、アバドは、ここでこのうえなく鮮明にわからせてくれる。名演である。」

(黒田恭一、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.2管弦楽曲編』、1985年)


 「アバドはストラヴィンスキーの言葉の特徴である頻繁に変化するリズムを小気味よいほど鮮やかに処理すると同時に、弦曲であるイタリアの古典音楽の旋律の魅力をすっきりした表情で生かしている。したがって彼の解釈では、『プルチネルラ』の音楽が無機質な表情をとることがなく、常に生命力に溢れ、コメディア・デラルテを思わせるエネルギーが躍動している。もちろん決して粗野ではない。」

(高橋昭、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.2管弦楽曲編』、1985年)

 


■収録曲

イーゴル・ストラヴィンスキー
バレエ音楽「ペトルーシュカ」[1911年版]

1. 第1場 謝肉祭の市場
2. ロシアの踊り
3. 第2場 ペトルーシュカの部屋
4. 第3場 ムーア人の部屋
5. ワルツ〜バレリーナとムーア人
6. 第4場 謝肉祭の市場(夕方)
7. 乳母たちの踊り
8. 熊をつれた農民の踊り
9. 行商人と2人のジプシー娘の踊り
10. 御者と馬丁たちの踊り
11. 仮装した人々
12. 乱闘〜ムーア人とペトルーシュカ
13. ペトルーシュカの死
14. 警察と人形使い
15. ペトルーシュカの亡霊


バレエ音楽「プルチネルラ」(全曲)[1947年版]
16. 第1曲 序曲
17. 第2曲 セレナータ
18. 第3曲 スケルツィーノ
19. ポーコ・ピウ・ヴィーヴォ
20. 第4曲 アレグロ
21. 第5曲 アンダンティーノ
22. 第6曲 アレグロ
23. 第7曲 アレグレット
24. 第8曲 アレグロ・アッサイ
25. 第9曲 アレグロ
26. 第10曲 ラルゴ〜アレグロ〜プレスト
27. 第11曲 アレグロ〜アッラ・ブレーヴェ
28. 第12曲 タランテッラ
29. 第13曲 アンダンティーノ
30. 第14曲 アレグロ
31. 第15曲 ガヴォッタ・コン・ドゥエ・ヴァリアツィオーニ
32. 第16曲 ヴィーヴォ
33. 第17曲 テンポ・ディ・ミヌエット
34. 第18曲 アレグロ・アッサイ


[演奏]

[ペトルーシュカ] レスリー・ハワード(ピアノ)

[プルチネッラ] テレザ・ベルガンサ(メッゾ・ソプラノ)、
ライランド・デイヴィス(テノール)、ジョン・シャーリー=カーク(バス)

ロンドン交響楽団

クラウディオ・アバド(指揮)


[録音]
1980年9月29日&30日
ロンドン、ウォルサムストウ・タウン・ホール(ペトルーシュカ)
*デジタル・レコーディング

1978年3月8日&9日、5月12日、
ロンドンヘンリー・ウッド・リハーサル・ホール(プルチネルラ)


[初出] [ペトルーシュカ]2532010(1981年)、2531087(1979年)

[日本盤初出] [ペトルーシュカ]28MG0177 (1981年10月)、
[プルチネッラ]MG1205(1979年9月)

[オリジナル/エクゼクティヴ・プロデューサー] ライナー・ブロック
[オリジナル/プロデューサー] ライナー・ブロック(ペトルーシュカ)、
ヴォルフガング・ステンゲル(プルチネルラ)

[オリジナル/バランス・エンジニア] クラウス・ヒーマン
[オリジナル/レコーディング・エンジニア] ヨアヒム・ニス(プルチネルラ)、
フォルカー・マーティン、ライナ・ヘップナー(プルチネルラ)

[Super Audio CDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)
[Super Audio CDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説] 諸石幸生 岡俊夫 志鳥栄八郎
[企画/販売] エソテリック株式会社
[企画/協力] 東京電化株式会社