SACD ハイブリッド

独グラモフォン、英デッカが
黄金期に誇るオペラ名録音。
限定1500セット 9枚組BOX!
 

 
グレイト 4 オペラズ
 
ベーム「フィガロの結婚」
アバド「セビリャの理髪師」
クライバー「椿姫」
カラヤン「ボエーム」
 
9枚組ボックスセット




価格:27,000円(税込)
ESSG/D-90089-97[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用
※歌詞・対訳は付属しておりません。


SOLD OUT!




今回の4作品は、1968年〜1977年という
アナログ全盛期に生み出された歴史的名盤で、

いずれも録音当時、
それぞれのレコード会社が
最高の指揮者・オーケストラ・歌手を結集し、
最高の音響を誇る録音会場で
綿密なセッションを組んで収録されたもので、
発売から40年近く経った現在でも、
これらのオペラの定番演奏として
レファレンスにされている名演です。

エソテリック定評の丁寧なマスタリング作業によって
Super Audio CD化され、音質の向上はもとより、
この4作品が本来備えた音楽的魅力を改めて浮き彫りにし、
新たなる感動を約束するものに仕上がっています。






20世紀 最高のモーツァルティアン、
カール・ベームの指揮のもと、
最高の歌手が結集した「フィガロ」全曲盤。

緊密なアンサンブルが、
モーツァルトの愉悦を描き出す。



モーツァルト
歌劇「フィガロの結婚」(全曲)

ESSG-90089-91

ヘルマン・プライ(Bs)
エディット・マティス(S)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
グンドラ・ヤノヴィッツ(S)
タティアーナ・トロヤノス(S)

カール・ベーム(指揮)
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団


◆ 20世紀を代表するモーツァルト指揮者カール・ベーム

   20世紀を代表するオーストリアの指揮者カール・ベーム(1894〜1981)は、ハイドンからR.シュトラウスにいたる独墺レパートリー、中でもモーツァルト作品の解釈者としてその名を歴史に残す名匠です。

 19世紀生まれの指揮者の中で、モーツァルトの交響曲全曲、主要管弦楽曲と協奏曲、ポピュラーなダ・ポンテ・オペラのみならず「魔笛」「イドメネオ」「ティトゥス」「後宮」まで自らの指揮で録音として残したのはおそらくベームただ一人と思われます。


        
 


◆円熟期の極め付け〜1968 年の「フィガロ」  
 
 そんなベームが1968 年にベルリン・ドイツ・オペラのアンサンブルと録音した「フィガロの結婚」は、E.クライバー/ウィーン・フィル盤、ジュリーニ/フィルハーモニア盤などと並んで、アナログLP 時代に同曲最高の名演と賞されましたが、ベームにとって1950 年代のウィーン響とのフィリップスへの全曲盤に続く再録音にあたり、さらにベームがドイツ・グラモフォンで開始したモーツァルト・オペラ録音シリーズの2作目となったものです。

 1960 年代はいわばベームの全盛期にあたり、客演指揮者として世界的な活動を行なった時期でした。その充実ぶりがこの録音にも反映されています。




◆名歌手のオン・パレード    
 
 何よりもまず、20 世紀後半のモーツァルト演奏様式を確立した立役者の一人であるベームのドラマの起伏を知り尽くした指揮ぶりと、そのもとで実現した緊密なアンサンブルの見事さがあげられるでしょう。

 ベルリン・ドイツ・オペラは1960 年代にベームが頻繁に客演した歌劇場の一つで、1963 年には東京の日生劇場のこけら落としに際して来日し、「フィデリオ」と「フィガロ」を指揮して日本のオペラ上演に残る伝説的な演奏を成し遂げました。その伝説的な上演に緻密さを加えたのがこの録音の特徴といえるでしょう。

 さらに端役に至るまで当時最高の歌手を投入して実現させたキャスティングの見事さも他にほとんど類を見ないほどです。プライのフィガロ(アバドのセビリャでもフィガロ役で芸達者ぶりを発揮)、マティスのスザンナ、フィッシャー=ディースカウの伯爵、ヤノヴィッツの伯爵夫人、トロヤノスのケルビーノなど、当時ベームのお気に入りだった20 世紀後半を代表する名歌手が、それぞれの役柄のキャラクタリゼーションを徹底的に行なっている点も聞き逃せません。

 またドン・バジリオにはベームがバイロイト音楽祭の「指環」上演でミーメに起用したヴォールファルトが起用されるなど、小さな役に至るまで見事な配役がなされている点もこの録音の特徴です。


  (左から)ヘルマン・プライ、エディト・マティス、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、
     グンドゥラ・ヤノヴィッツ、タティアーナ・トロヤノス、パトリシア・ジョンソン



◆最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現    
 
 録音が行なわれたイエス・キリスト教会は、ベルリン郊外のダーレム地区にあって1950 年代初頭から1972 年までベルリン・フィルの録音がほぼ独占的に行なわれていた教会です。

 豊かな響きで知られる録音会場ですが、この「フィガロ」ではオーケストラの各パートや歌手を明晰に収録することで、響きに埋もれることなくベームが志向するディテールの細密さが再現されています。

 今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSD マスタリングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。


 

◆「その緊密に完成された表現は生気に溢れ、かつ自然な優しさの境地」     
 
 「ベーム円熟のモーツァルト。その緊密に完成された表現は生気に溢れ、かつ自然な優しさの境地にある。そして、理想のキャストとはこのことをいうのだろうか。単に当時のベスト・キャストというだけでなく、また3人ずつのソプラノとバスの声質配分の妙だけでなく、歌い手と登場人物の性格とが理想的に一致した稀有の例と言っていい。さまざまな性格を持つ登場人物が、みなその個性を明確かつ存分に主張しつつ、見事なアンサンブルを作り出す。舞台姿をほうふつとさせる、魅力溢れたレコードだ。」
(『クラシック・レコード・ブック1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』)


「ベームはあくまでもアンサンブルを重視した堅固な音楽的な造形に隙がなく、1960 年代のドイツ・オペラ界を代表する名歌手たちが聴かせるソロも非常に素晴らしく、独特の愉悦感が味わえる。ウィーンやイタリアのモーツァルトとはまた違った陰影豊かな表現も、ベームならではの魅力である。
(『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲編』)


「ベームの造形的な誘導の中で各歌手が繰り広げるソロはどれもみな素晴らしく、確固とした様式の枠内にありながら、溢れかえる魅力を発散している。それ以上に見事なのが、全曲にわたって展開される無数のアンサンブル。申し分のないバランスと精妙さを示しつつ、声のアンサンブルのもつ奥深い愉悦をくまなく伝えている。およそ様式と造形を主軸に据える曲作りを通じて、この作品の耽美志向までも掘り深く刻み込んで見せた演奏である。」
(レコード芸術別冊『不朽の名盤1000』)

 


■収録曲

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」(全曲)
4幕のオペラ・ブッファ
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ

<配役>

フィガロ:ヘルマン・プライ(バス)
スザンナ:エディト・マティス(ソプラノ)
 アルマヴィーヴァ伯爵:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
伯爵夫人:グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ケルビーノ:タティアーナ・トロヤノス(ソプラノ)
マルツェリーナ:パトリシア・ジョンソン(メッゾ・ソプラノ)
バルトロ:ペーター・ラッガー(バス)
ドン・バジリオ:エルヴィン・ヴォールファールト(テノール)
ドン・クルツィオ:マーティン・ヴァンティン(テノール)
アントニオ:クラウス・ヒルテ(バス)
バルバリーナ:バーバラ・フォーゲル(ソプラノ)
二人の少女:クリスタ・ドル(ソプラノ)
マルガレーテ・ギーゼ(ソプラノ)


[演奏]

ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団
合唱指揮:ヴァルター・ハーゲン=グロルチェンバロ
音楽助手:ヴァルター・タウジヒ
指揮:カール・ベーム 

[録音] 1968 年 3月12日〜20日
ベルリン、イエス・キリスト教会

[日本盤初出]MG9303〜6 (1969 年1月)

オリジナル・レコーディング
[エクゼクティヴ・プロデュサー]Dr.ハンス・ヒルシュ

[プロデューサー]ヴォルフガング・ローゼ

[レコーディング・エンジニア]ギュンター・ヘルマンス

[Super Audio CD プロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]
杉本一家(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CD オーサリング]
藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説]諸石幸生 K田恭一

[企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社














20 世紀後半、
世界的なロッシーニ・リヴァイヴァルをもたらした立役者、
クラウディオ・アバドが名歌手を得て描き出した
ロッシーニの名作オペラ。




ロッシーニ
歌劇「セビリャの理髪師」(全曲)

ESSG-90092 & 93

ヘルマン・プライ(Bs)
テレサ・ベルガンサ(Ms)
ルイジ・アルヴァ(T)
エンツォ・ダーラ(Bs)
パオロ・モンタルソロ(Bs)

クラウディオ・アバド(指揮)
ロンドン交響楽団
アンブロジアン・オペラ・コーラス


◆ 20世紀後半のロッシーニ・リヴァイヴァルの立役者、アバド

   今年80歳を迎えるイタリアの指揮者クラウディオ・アバド(1933 生まれ)が
1971年9月にロンドンで録音した「セビリャの理髪師」(全曲)は、当時新進気鋭だったアバドの初期録音を代表するオペラ録音です。

 1968 年にイタリアを代表する歌劇場であるミラノ・スカラ座の指揮者に就任したアバドが、ヴェルディと並んで熱心に取りあげたのがロッシーニであり、新たに校訂された楽譜をもとに、異質で過剰な装飾音や移調での歌唱といった伝統的な悪弊を洗い落とすことで、ロッシーニの音楽の魅力を全く新鮮な形で提示し始めました。

 演出家ジャン=ピエール・ポネルと組んだ「チェネレントラ」や「セビリャの理髪師」のスカラ座での上演は、その舞台が作品上演のスタンダードとされるほどのウィットに富んだ見ごたえのあるもので、それによって20 世紀後半の真の「ロッシーニ・リヴァイヴァル」が興ったと言っても過言ではありません。
 


 


◆従来のイメージを一新させる新鮮な響き  
 
 この1971 年録音の「セビリャの理髪師」は、同時期にアバドが録音した同じロッシーニの「チェネレントラ」に続く、アバドにとってのオペラ全曲盤第2 作となったものですが、ポネルの舞台上演(そしてそれを元にした映像作品)との両輪でロッシーニのイメージを20 世紀後半に一新させ、「ロッシーニ・リヴァイヴァル」を支えることになった記念碑的な録音です。

 オーケストラは、アンドレ・プレヴィンのもと黄金時代とも言うべき充実の極みにあった、当時のロンドン交響楽団で、作品の隅々までクリーンアップされたかのような新鮮な響き、しなやかなカンタービレ、わくわくするような躍動感がものの見事に現実
の音と化しています。それに加えて、適材適所の歌手のキャスティングは文句のつけようがありません。

 溌剌として芸達者なプライがフィガロを、スペインの名花ベルガンサのロジーナは、ヴァルヴィーゾ指揮のデッカ盤以来2 度目の録音となりましたが、楽々とフォオリトゥーラをこなし、生き生きとした等身大のロジーナ像を描き出しています。アルマヴィーヴァは美声で知られるアルヴァで、セレナーデでのしっとりとした歌の見事さのみならず、コロラトゥーラを軽妙にこなし、作品に要求される喜劇性も存分に発揮しています。

 そして歌役者とも言うべきダーラのバルトロ、モンタルソロのバジリオが脇を固めています。また饒舌になりすぎないチェンバロは若き日のグシュルバウアーが担当しています。



           (左から)ヘルマン・プライ、テレサ・ベルガンサ、
        ルイジ・アルヴァ、エンツォ・ダーラ、パオロ・モンタルソロ



◆最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現    
 
 録音が行なわれたワトフォード・タウン・ホールは、キングスウェイ・ホール、ウォルサムストウ・タウン・ホール、そしてアビーロード・スタジオと並び、ロンドン近郊でのオーケストラ録音には欠かせないホールです。

 適度な残響感と奥行き感を備えたニュートラルな響きは、細部まで緻密な目配りの行きとどいたアバドの音楽づくりにはぴったりで、歌とオーケストラのバランスもまさに絶妙で、歌手の細かなニュアンスを損なうことなく、オペラとしての十分な空間性も再現しています。

 今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSD マスタリングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。


 

◆「今ある《セビリャの理髪師》の最良の盤がこれである」    
 
 「今ある《セビリャの理髪師》の最良の盤がこれである。アバドの、颯爽としていて、しかも走りすぎず、十分に弾んで、しかも申し分なくうたえている、ここできける演奏は、ロッシーニのオペラの魅力を完璧に示したものと言えよう。キャストもまた配役が行き届いていて十全である。」
(『クラシック・レコード・ブック1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』)


「年輪とともに熟成を加えたベルガンサのロジーナも大きな魅力を保っているし、アルヴァのアルマヴィーヴァ伯爵もすこぶるうまさと妙味のある秀演。ダーラの歌うバルトロ、モンタルソロの歌うバジリオ、いずれもここでのアバドの曲作りに一層エネルギッシュな彫琢を付している。楽曲細部にまで行きとどいたアバドの緻密な構想が全幕を包み込み、聴き手を少しも飽きさせることがない。明快で説得力に満ち、隙のない仕上がりのロッシーニである。」
(『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲編』)

 


■収録曲

ロッシーニ:歌劇「セビリャの理髪師」(全曲)

2幕のメロドラマ・ブッファ
台本:チェーザレ・ステルビーニ
(ボーマルシェの喜劇による)


<配役>

フィガロ:ヘルマン・プライ(バリトン)
ロジーナ:テレサ・ベルガンサ(メッゾ・ソプラノ)
アルヴィーヴァ伯爵:ルイジ・アルヴァ(テノール)
バルトロ:エンツォ・ダーラ(バス) 
バジリオ:パオロ・モンタルソロ(バス)
ベルタ:ステファニア・マラグー(ソプラノ)
フィオレルロ:レナート・チェザーリ(バリトン)
士官:ルイジ・ローニ(バス)


[演奏]

アンブロジアン・オペラ・コーラス
合唱指揮:ジョン・マッカーシー
チェンバロ:テオドール・グシュルバウアー
ギター:バルナ・コヴァーツ

ロンドン交響楽団
指揮:クラウディオ・アバド


使用楽譜:アルベルト・ゼッダの校訂になる改訂版
(ミラノ、G.リコルディ&C.S.p.A.)


[録音]1971 年9月 ロンドン、
ワトフォード・タウン・ホール

[日本盤初出]MG9654〜6 (1973 年4 月)
オリジナル・レコーディング

[エクゼクティヴ・プロデュサー]カール・ファウスト

[プロデューサー]ライナー・ブロック

[レコーディング・エンジニア]
ハンス=ペーター・シュヴァイクマン

[Super Audio CD プロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説]諸石幸生 K田恭一

[企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社













クライバーのタクト一閃、
ヴェルディの切ないまでのドラマが
痛切に描き出される名盤。




ヴェルディ
歌劇「椿姫」(全曲)

ESSG-90094 & 95

イレアナ・コトルバス(S)
プラシド・ドミンゴ(T)
シェリル・ミルンズ(Br)

カルロス・クライバー(指揮)
バイエルン国立管弦楽団、
バイエルン国立歌劇場合唱団



◆ 伝説のクライバー唯一のヴェルディ録音

   録音嫌いで知られたカルロス・クライバー(1930-2004)が正規のセッション録音で残したオペラ全曲盤はわずか4つ。

 その中で1960 年代後半から晩年まで最も数多くオペラ公演を指揮して深い関係にあったミュンヘンのバイエルン国立歌劇場のアンサンブルと録音した二つのオペラのうち、「こうもり」は既にこのシリーズでSuper Audio CD ハイブリッド化していますが、今回はもう一つの「椿姫」をSuper Audio CD ハイブリッド化いたします。

 クライバーが1970 年以降に指揮したヴェルディのオペラは「椿姫」と「オテロ」だけですが、そのうち正規のセッション録音が行なわれたのはこの「椿姫」だけです。

 
 


◆喜怒哀楽のドラマを千変万化に彩るクライバーの手腕  
 
 クライバーが「椿姫」を初めて指揮したのは1960年、ライン・ドイツ・オペラでのことで、それ以来シュトゥットガルトやミュンヘンで繰り返し取り上げています(最後に指揮したのは1989年、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)。

 コトルバスを主役に据えた「椿姫」の新演出をバイエルン国立歌劇場でクライバー
が指揮したのは1975 年4月のことで、コトルバスはそのままに、アルフレードをドミンゴ、ジェルモンをミルンズというより強力な歌手に入れ替えて翌年5 月に集中的な録音セッションが行われ、さらに1977年に追加のセッションを行なって完成させたのがこの録音です。

 クライバーの緻密で俊敏な指揮のもと、バイエルン国立管弦楽団は強靭で引き締まった筋肉質な響きを獲得し、オーケストラ・パートに込められた喜怒哀楽のドラマを千変万化に彩っています。

 ヴィオレッタという華やかでありつつも切ないキャラクターを繊細に描き出すコトルバス、アルフレードの直情的な感情の起伏をストレートに歌うドミンゴ、そしてジェルモンという身勝手かつ包容力のある父親像を具現化したミルンズと、主役3人に適役が配されているのも大きなポイントです。


     (左から)イレアナ・コトルバス、プラシド・ドミンゴ、シェリル・ミルンズ




◆最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現    
 
 録音はミュンヘン市内のビュルガーブロイケラーというビアホールで行なわれました。当シリーズで既にSuper Audio CD 化したケンペ/ミュンヘン・フィルの録音(シューベルト「ザ・グレイト」、ベートーヴェン:交響曲全集)の録音が行なわれたのと同じ会場です。

1885年に開店したこのビアホールは1830 人を収容できる大規模な空間を擁し、ヴァイマール時代以来政治的な集会にも頻繁に使用され、ヒトラーのミュンヘン一揆の舞台ともなった歴史的な建物でした。

 その優れた音響効果のゆえに、またヘルクレスザール以外に録音に適したホールがなかったミュンヘンでは、ステレオ時代にオーケストラの録音にも重宝されていました。この録音では歌手やオーケストラの各パートが鮮明に収録され、スリムで引き締まったクライバーならではの響きが再現されています。

 なおこの「椿姫」は2004 年にエミール・ベルリナー・スタジオによって一度Super Audio CD ハイブリッド化されており、今回が2度目のSuper Audio CD ハイブリッド化となります。

 今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSD マスタリングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。


 

◆「ヴェルディの、ついに水っぽくなることのない抒情が完璧に示されている」    
 
 「第1幕の前奏曲が終わって幕が上がる。その部分を聴いただけで、このオペラを指揮してのクライバーの素晴らしさがわかる。前奏曲の暗とそれにつづく部分の明の対比を、これほど鮮やかにきかせる指揮者は、カルロス・クライバーをおいて他にいない。ここでは、ヴェルディの、ついに水っぽくなることのない抒情が完璧に示されている。」
(『クラシック・レコード・ブック1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』)


「テンポも響きもリズムもきりりと引き締まり、躍動感と旋律美を十二分に生かした指揮、そしてヒロインのコトルバスが最高だ。華やかさと品格と切ないニュアンスがすべて真実味を持って迫ってくる点において比類がない。他の歌手陣も豪華メンバーだ。」
(『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲編』)


「クライバーならではのまことに生彩溢れる演奏である。と同時にクライバーは、第1 幕の前奏曲〜、このオペラの悲劇性を精妙きわまりない表現によって明らかにし、常に生き生きとした流れと劇的で鮮やかな変化を備えた演奏によって、音楽の最深部にまで的確な光を当てつくしている。バイエルン国立管弦楽団からこのように精緻な陰影に富んだ響きと表現を引き出した手腕も、まさに至芸というべきだろう。」
(レコード芸術別冊『不朽の名盤1000』)

 


■収録曲

ヴェルディ:歌劇「椿姫」(全曲)
3幕の歌劇/台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
(アレクサンドル・デゥマ・フィス戯曲による)


<配役>

ヴィオレッタ・ヴァレリー:イレアナ・コトルバス(ソプラノ)
フローラ・バルヴォア:ステファニア・マラグー(メッゾ・ソプラノ)
アンニーナ:ヘレーナ・ユングヴィルト(ソプラノ)
アルフレード・ジェルモン:プラシド・ドミンゴ(テノール)
ジョルジョ・ジェルモン:シェリル・ミルンズ(バス)
ガストン子爵:ヴァルター・グリーノ(テノール)
ドゥフォール男爵:ブルーノ・グレッラ(バリトン)
ドビニー公爵:アルフレード・ジャコモッティ(バリトン)
グランヴィル医師:ジョヴァンニ・フォイアーニ(バス)
ジュゼッペ:ヴァルター・グリーノ(バリトン)
フローラの従僕:パウル・フリース(テノール)
使者:パウル・ヴィンター(テノール)


[演奏]

バイエルン国立歌劇場合唱団 
合唱指揮:ヴォルフガング・バウムガルト

バイエルン国立管弦楽団
指揮:カルロス・クライバー


[録音]1976 年5月14日〜21日、
1977年1月26日、6月25日&26日
ミュンヘン、ビュルガーブロイケラー

[日本盤初出]MG8300〜01 (1978年2月)
オリジナル・レコーディング

[エクゼクティヴ・プロデュサー]Dr.ハンス・ヒルシュ

[プロデューサー]ハンス・ヴェーバー

[レコーディング・エンジニア]クラウス・シャイベ

[Super Audio CD プロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]
杉本一家(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CD オーサリング]
藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説]諸石幸生 K田恭一

[企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社















パリの若きボヘミアンたちの青春を描き出す
プッチーニの傑作「ボエーム」の
あらゆる点で理想的な名盤。



プッチーニ
歌劇「ボエーム」(全曲)

ESSD-90096 & 97

ミレッラ・フレーニ(S)
ルチアーノ・パヴァロッティ(T)
ロランド・パネライ(Br)
ニコライ・ギャウロフ(Bs)
エリザベス・ハーウッド(S)

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団


◆ カラヤン&ベルリン・フィル、初の、そして唯一の英デッカ録音

   ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)とベルリン・フィルによって1972 年に録音されたプッチーニ「ボエーム」は、指揮・オーケストラ・歌手・録音とあらゆる点において、このオペラの理想的な録音とされる名盤です。

 またカラヤン&ベルリン・フィルにとって唯一のデッカ録音となったという点でも歴史的な意味合いを持つ録音です。



◆「ボエーム」の最高傑作  
 
 カラヤンが1963年にミラノ・スカラ座で上演した「ボエーム」は、フランコ・ゼッフィレルリの演出とともに、このオペラの理想的な舞台として絶賛されました。1965 年には舞台の映像化も行なわれ映画として各地で上映され、主役のミミを可憐に演じたフレーニとともに「ボエーム」というオペラのイメージを最も鮮明な形で具現化した舞台として定着しました。

 それから7年、フレーニのミミはそのままに、オーケストラをベルリン・フィルに持ち替え、さらに新進気鋭のパヴァロッティ(まだ髭のないころ)をロドルフォに迎えて録音が実現したのがこのデッカ盤です。

 カラヤンがベルリン・フィルのダイナミックかつ繊細な表現力を最大限に生かして、プッチーニがオーケストラ・パートに託したドラマを完璧に再現していくさまは鮮やかなほど。そのオーケストラの豪華なカンバスの上で、適材適所の歌手がみずみずしい情感あふれる歌を披露しています。

 主役の二人はもちろんのこと、マルチェッロにヴェテランのパネライ、コルリーネにギャウロフ、ムゼッタにはDG録音の「メリー・ウィドウ」(当シリーズでSuper Audio CD ハイブリッド化済み)の主役を歌わせたハーウッドなど、心憎いまでに配慮の行きとどいたキャスティングです。




◆最高の状態でのSuper Audio CD ハイブリッド化が実現    
 
 レコーディング・エンジニアのジェームズ・ロックによると、カラヤンは、このオペラに慣れていなかったベルリン・フィルにオーケストラだけの綿密なリハーサルを行なうことでプッチーニの語法を習熟させ、さらに歌手には暗譜で歌うことを求め、基本的に場面ごとの大きなテイクを録ることで、作品のドラマの流れを途切れさせないように配慮したとのことです。

 録音が行なわれたイエス・キリスト教会は、ベルリン郊外のダーレム地区にあって1950 年代初頭から1972 年までドイツ・グラモフォンによってベルリン・フィルの録音がほぼ独占的に行なわれていた教会です。

 デッカがこの教会でベルリン・フィルを録音するのはこの「ボエーム」のセッションが初めて(そして現在に至るまで唯一)のことで、その意味でも歴史的な録音といえるでしょう。

 ステレオ初期から「ソニックステージ」を標榜してオペラ録音には一家言を持つデッカの総力を結集した録音に相応しく、教会の豊かな響きを十分に生かした大きな空間の中で、スケールの大きな音像を展開させています。

 特に第2 幕で独唱・合唱・少年合唱や別働隊のバンダなどのさまざまなアンサンブ
ルが動員される時の遠近感の付け方の見事さや、第3 幕冒頭の冬の戸外の静謐な情景など、舞台が鮮明に眼に浮かぶような音づくりがされています(その意味で、同じ教会で4年前に収録されたベームの「フィガロ」のストイックな音づくりとの比較は興味深いところです)。




 今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。

 特にDSD マスタリングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。

 

◆「カラヤンが録音したプッチーニ録音の中でも随一の名盤であり、
フレーニ、パヴァロッティというこの時代を代表する名歌手の声の絶頂期の素晴らしい記録」
  
 
 
 「もしオペラの上演に古典的・規範的名舞台というのがあるとすれば、1963 年にミラノ・スカラ座で生まれたゼッフィレルリ演出、カラヤン指揮の《ボエーム》はその好例として真っ先に挙げられる。
カラヤンはその後20 年に幾度となくこの上演を指揮し、そしてフレーニ以下最も理想的な歌手たちを集めてこのレコードを録音した。美しく細やかな音色と効果に満ちたカラヤンの指揮、フレーニのみずみずしい情感、4人のボヘミアンたちの個性的な歌、すべて申し分ない出来栄えである。」
(『クラシック・レコード・ブック1000 VOL.6 オペラ&声楽曲編』)


「カラヤンが録音したプッチーニ録音の中でも随一の名盤であり、フレーニ、パヴァロッティというこの時代を代表する名歌手の声の絶頂期の素晴らしい記録である。1972年の録音で、ベルリン・フィルの重厚極まりない音色は、プッチーニの音楽に相応しいとは言い難いが、ある種のシンフォニックなそのアプローチは、ユニークな美しさを生み出している。
音楽のイニシアティブはカラヤンが握っているが、フレーニの精妙な役作りには、カラヤンさえもがその覇権を譲る。フレーニは最上のミミの演唱であり、パヴァロッティのロドルフォも彼の最高の歌唱。名手パネライの人情味に満ちたマルチェルロ、ギャウロフのコリーネも絶品。」
(『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 オペラ・声楽曲編』)

 


■収録曲

プッチーニ:歌劇「ボエーム」(全曲)
4幕の歌劇/台本:ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イルリカ
(アンリ・ミュルジェールの小説・戯曲「ボヘミアン生活の情景」)


<配役>

ミミ:ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ロドルフォ:ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
マルチェルロ:ロランド・パネライ(バリトン)
コルリーネ:ニコライ・ギャウロフ(バス)
ムゼッタ:エリザベス・ハーウッド(ソプラノ)
ショナール:ジャンニ・マッフェオ(バリトン)
ベノワ、アルチンドロ:ミシェル・セネシャル(テノール)
パルピニョール:ゲルノート・ピエチュ(テノール)
税関の官吏:ハンス=ディートリヒ・ポール(バリトン)
税関の警官:ハンス=ディーター・アッペルト(テノール)

歌唱指導:アントニオ・トーニ



(左から)ギャウロフ、ハーウッド、パヴァロッティ、
フレーニ、マッフェオ、パネライ



[演奏]

ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
合唱指揮:ヴァルター・ハーゲン=グロル

シェーネベルク少年合唱団
合唱指揮:ゲルハルト・ヘルヴィッヒ

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
 

[録音]1972 年10月、ベルリン、
イエス・キリスト教会

[初出]SET565〜6
[日本盤初出]SLC-7191〜2 (1974 年1 月)

オリジナル・レコーディング
[プロデューサー]レイ・ミンシャル、ジェームズ・マリンソン

[レコーディング・エンジニア]
ゴードン・パリー、ジェームズ・ロック、コリン・ムアフット

[Super Audio CD プロデューサー]
大間知基彰(エソテリック株式会社)

[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]
杉本一家(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CD オーサリング]
藤田厚夫(有限会社エフ)

[解説]諸石幸生 宮澤縦一

[企画・販売]エソテリック株式会社

[企画・協力]東京電化株式会社