SACD ハイブリッド

ロシアを代表する2大ピアノ協奏曲の理想的な姿を再現した
超弩級の名演が、ついに Super Audio CD ハイブリッド化!

  
 

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番
&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番

スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン交響楽団
スタニスラフ・ヴィスロッキ(指揮)ワルシャワ国立フィル



価格:3,300円(税込)
ESSG-90085[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


Sold OUT!


20 世紀最大の巨匠、スヴャトスラフ・リヒテル

   「20世紀のピアノの巨人」と称される、ロシアの名ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテル(1915.3.20〜1987.8.1)。
 バッハから同時代音楽に至る膨大なレパートリーを持ち、それぞれに個性的かつ巨大な演奏解釈を披露した文字通り「ピアノの巨人」的存在でした。録音嫌いとして知られていたにもかかわらず、発売された録音の点数は他のどのピアニストよりも多いのではないかと思われるほど、多数の録音が残されている点でも破格の存在といえるでしょう。

 リヒテルが残した録音の中でも、おそらくソフィア・ライヴの「展覧会の絵」(PHILIPS)やバッハの「平均律」全曲(RCA)と並んで最も有名な演奏が、今回Super Audio CD ハイブリッド化されるドイツ・グラモフォンのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1 番とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。
      

 


鉄のカーテンに遮られた「幻のピアニスト」から「現代最高の巨匠」へ  
 
 リヒテルがソ連国外で演奏したのは1950 年のことで、それ以後東側の共産圏には時折登場するようになりましたが、西側に一部の録音や評判が伝えられるのみでその実態がなかなか把握されず「幻のピアニスト」とされていました。
 そうした中で、ドイツ・グラモフォンは西側のどのレコード会社にも先駆けて1956 年にプラハでリヒテルのソロ録音(シューマンの「森の情景」ほか)の収録を実現させ、さらに 1958 年から59 年にかけては、ワルシャワで協奏曲も含むステレオLP3 枚分の録音を行ないました。

 その中に含まれていたのがヴィスロッキ指揮ワルシャワ国立フィルとのラフマニノフのピアノ協奏曲第2 番で、発売以来、この曲の理想的な演奏として一度もカタログから消えたことのない名盤と称されています。これらの録音が西側で広く発売されるにつれて、リヒテルは「現代最高の巨匠ピアニスト」と位置づけられるようになり、さらに1960 年にリヒテルが行なったアメリカ・ツアーによって、その名声は頂点に達したのでした。



横綱相撲〜カラヤンとの共演    
 
 さらにドイツ・グラモフォンは、1961 年に行われたリヒテルのイギリス・ツアー、その翌年のイタリア・ツアーでも録音を行ないましたが、彼らの最大の功績は1962 年9月にカラヤン指揮ウィーン交響楽団との共演で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を録音したことでしょう。
 
 当時ベルリン・フィル、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、ザルツブルク音楽祭など、ヨーロッパの主要音楽ポストを手中におさめていた「帝王」カラヤンと、ソ連の巨匠リヒテルとの共演は、まさに横綱相撲ともいうべきぶつかり合いで、第1 楽章の壮大なスケール、第2楽章の変幻自在な緩急の付け方、そして第3 楽章のたたみ掛けるような迫力など、この協奏曲が必要としているあらゆる要素を兼ね備えています。さらに細部のニュアンスの彫琢の見事さ・緻密さも他に例がないほどです。



最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現    
 
 リヒテルはこれら2 曲の協奏曲を以前にも録音していました(チャイコフスキーは、アンチェル指揮チェコ・フィルとの1954 年スプラフォン録音、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルとの1959 年メロディア録音の2 種類、ラフマニノフはワルシャワ録音のわずか2 ヵ月前のザンデルリンク指揮レニングラード・フィルとのメロディア録音)が、演奏内容自体は互角としても、ドイツ・グラモフォン盤は何といっても鮮明なステレオ録音であることに圧倒的な分があります。

 特にチャイコフスキーは、響きの豊かなことで知られるウィーンのムジークフェラインザールでの収録であり、リヒテルの数多い協奏曲録音の中でも最も美しくバランスのよいサウンドでこの稀有のピアニストの見事なタッチを堪能することができます。チャイコフスキーはギュンター・ヘルマンス、ラフマニノフはハインツ・ヴィルトハーゲンと、ドイツ・グラモフォンのアナログ録音を代表する名エンジニアが録音を手掛けているのも大きなポイントです。

 ドイツ・グラモフォンお得意のコンサート・プレゼンス的視座の中で、ピアノや管楽器のソロなどが過不足なくバランスされているのです。今回のSuper Audio CD ハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターの選定から、最終的なDSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSD マスタリングにあたっては、DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材を投入、また同社のMEXCEL ケーブルを惜しげもなく使用することで、貴重な音楽情報を余すところなくディスク化することができました。



「壮大なスケール感と彫りの深さ、ロシア的な力強い詩情とほの暗いパッション」

 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
 『リヒテルとカラヤンというふたりの巨匠がぶつかり合い、それぞれの個性を十分に発揮しながら、全体として大きなスケールでまとめあげられた名演である。ゆったりとしたテンポで、リヒテルが力強くふくよかな音で重厚かつ繊細な表情を生み出し、カラヤンもそれに対抗して多彩な響きと豊かな表情を盛り込んで答える。そうしたエネルギーのぶつかり合いが独特の緊張感を生み出し、音楽に大きな起伏を与えているのである。』
(福本健一、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.3 協奏曲編』、1985 年)

『独奏者リヒテルが、ゆったりとしたテンポで、中身がたっぷりと詰まった音を導きだしていくかと思うと、ウィーン交響楽団を指揮するカラヤンも、負けじとばかりに、豪華な響きを作り出していく。まさにイニシアティヴの取り合い、結論の奪い合いというところが、実にスリリングである。大家同士でなければ、なかなかこうはいかないと思わせるほどの共演ぶりだ。』(吉井亜彦、『レコード芸術別冊・名曲大全 協奏曲編』、1998 年)


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
 『ゆったりとした大河のような雄大な流れの中に、刻々の表情の移ろいを見せる曲の推移に、リヒテルのピアノとヴィスロッキの指揮は何と巧みに沿っていることか。作品の再現というよりは、演奏者たちによって、はじめて曲に生命が吹き込まれたように、熱く深く圧倒的な演奏である。』
(佐々木節夫、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.3 協奏曲編』、1985年)


『壮大なスケール感と彫りの深さ、ロシア的な力強い詩情とほの暗いパッション。リヒテルのこの演奏は、これらの要素が高次元で混然一体となった驚くべき例であろう。彼のラフマニノフへの並々ならぬ思い入れが、全楽章を通じてどっしりと伝わってくる名演であり、とくに第2 楽章に現れた奥深いメランコリーなど、聴き手の胸を打ってやまぬところとなっている。すべてが深く大きく量感に満ちたラフマニノフ。名演・名盤がせめぎ合う現在もなお、屈指の輝きを放っている。』
(宮崎滋、『レコード芸術別冊・名曲大全 協奏曲編』、1998 年)


『ラフマニノフ自身の演奏を別にすれば、これほど作品の本質に迫った演奏はないだろう。スケール が大きいと同時に細かいパッセージまで明確に演奏されているし、濃厚なロマンティシズムとみずみずしいリリシズムの双方が完全に表現されている。リヒテルの最大の武器は明確なタッチで、鍵盤の底まで押し込んでいるかのような、強い打鍵がフォルテを明確に響かせるが決して重苦しくならない。また弱音の美しい響きは繊細な感情を生かしている。強い意思にもとづく解釈と豊かな表現力が結びついた演奏である。』
(高橋昭、『クラシック不滅の名盤1000』、2007 年)

 



■収録曲

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ピアノ協奏曲 第1番変ロ短調作品23

1. 第1楽章:
アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ〜アレグロ・コン・スピーリト

2. 第2楽章:
アンダティーノ・センプリーチェ〜プレスティッシモ〜テンポ・プリモ

3. 第3楽章:
アレグロ・コン・フォーコ

セルゲイ・ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第2 番ハ短調作品18

4. 第1楽章:モデラート

5. 第2楽章:アダージョ・ソステヌート

6. 第3楽章:アレグロ・スケルツァンド

演奏
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン交響楽団(チャイコフスキー)
スタニスラフ・ヴィスロッキ(指揮)ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団(ラフマニノフ)


[録音]
1962 年9 月24 日〜26 日、ウィーン、ムジークフェラインザール(チャイコフスキー)、
1959 年4 月26 日〜28 日、ワルシャワ、国立フィルハーモニー・ホール(ラフマニノフ)

[LP 初出]138822 (1963 年、チャイコフスキー)、138076(1959 年、ラフマニノフ)
[日本盤LP 初出]SLPM138822(1963 年2 月、チャイコフスキー)、
LGM173 (1960 年4 月、ラフマニノフ)


オリジナル・レコーディング
[エクゼクティヴ・プロデューサー]エルザ・シラー

[プロデューサー]オットー・エルンスト・ヴォーレルト(チャイコフスキー)、
ハンス・ウェーバー(ラフマニノフ)

[レコーディング・エンジニア]ギュンター・ヘルマンス(チャイコフスキー)、
ハインツ・ヴィルトハーゲン(ラフマニノフ)

[Super Audio CD プロデューサー]大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア]杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社、マスタリングセンター)

[Super Audio CD オーサリング]藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説]諸石幸生 藁科雅美 浅里公三

[企画協力]
東京電化株式会社

[企画/販売]
エソテリック株式会社