SACD ハイブリッド

20世紀後半のモーツァルト演奏
美学が実際の音となって結実した永遠の金字塔

 

モーツァルト:交響曲 第35番「ハフナー」
第40番、第41番「ジュピター」
ラファエル・クーベリック(指揮)
バイエルン放送交響楽団 


価格:3,143円(税別)
ESSS-90060[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
CD層:ADD
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用


SOLD OUT!


 

エソテリックならではのこだわりのSA-CDハイブリッド・ソフト  

 オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で話題沸騰中のエソテリックによる名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名盤をオリジナル・マスターからリマスタリングし、世界初のSuper Audio CDハイブリッド化を実現してきました。
 


チェコの名指揮者クーベリック  
 
 チェコの名指揮者ラファエル・クーベリック(1914〜1996)は、アナログ時代のクラシック・ファンには親しみ深い存在で、特に1961年から1979年にかけてほぼ20年近くにわたって首席指揮者を務めたバイエルン放送交響楽団とDGに録音した数多くのLPは、作品に対する温和で豊かな感覚と詩情に満ちた、誠実なアプローチで今でも高く評価されています。中でも1967年から1971年にかけて収録されたマーラーの交響曲全集は、ほぼ同時期に完成したバーンスタインの第1次全集とは対をなすともいうべき、20世紀マーラー演奏の精華といえるものであり、またベルリン・フィルとのドヴォルザークの交響曲全集も故国の作曲家に対する敬愛の念に満ちた充実の名盤でした。


最円熟期の輝きを記録したCBS録音。レコードアカデミー賞(1982年度)を受賞   
 
 作曲家でもあったクーベリックは、作曲により多くの時間を費やすべく1979年にバイエルン放響のポストを勇退することになりますが、ほぼ同時にそれまで多数の録音を残してきたDGを離れ、CBSレーベルに移り、LPにして約9枚分の録音を行っています。シューマンの交響曲全集の再録音に始まり、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」とワーグナーの「ジークフリート牧歌」、モーツァルトの後期6大交響曲を経てブルックナーの交響曲第3番に至る一連の録音は、最晩年のライヴ録音を除くと、クーベリックにとって最後のスタジオ録音となったもので、その最円熟期の輝きがアナログ最後期とデジタル初期の充実したサウンドで収録されています。当アルバムは、1980年6月と10月の2回に分けて収録されたモーツァルトの後期6大交響曲から3曲を採ったもので、発売当初からその充実ぶりが高く評価され、1982年度レコード・アカデミー賞を受賞した名盤です。


最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
 
このアルバムの録音は、クーベリックとバイエルン放送響のほとんどの録音と同様、ミュンヘンのヘルクレスザールで行なわれました。ミュンヘン中心部のレジデンツ内にあるこのヘルクレスザールは、第2次大戦後の1953年に建立された1270人収容のシューボックス型の中規模ホールで、長らくバイエルン放送響の本拠地であり、1985年にガスタイクのフィルハーモニーが出来るまで、ミュンヘンの最も重要なコンサート会場でした。その落ち着きのあるしっとりとした優美な響きは、まさにクーベリックの紡ぎ出す滋味深い音楽に相応しいもので、ホールの音響を知り尽くしたバイエルン放送のスタッフとの共同制作によって十全の体制で収録されています。

 今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまでのエソテリック企画同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、入念に調整されたエソテリック・ブランドの最高級機材(D/Aコンバーターとルビジウムクロックジェネレーター)を投入。また同社のMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。最初期のデジタル録音にありがちな無機的な硬さや分解能の悪さは全く無く、弦楽器のしなやかさと管楽器の響きがヘルクレスザールの残響特性ともマッチし、温かで伸び伸びとしたサウンドを醸し出しています。

「クーベリックの演奏経験の総決算」

 『クーベリックのモーツァルトはいわゆる中欧的伝統に根ざしている。それは新即物主義が短絡的に古典に応用された類の解釈ではなく、作品の内奥から情緒を歌い出すための演奏である。しかもクーベリックは知的な構成力や古典に対する客観性が強く、この後期の6曲では、それらのバランスが多様な音楽をつくっている。そして成熟した風格が一種独特の大きなスケールを音楽に与えているが、現代のコンサート・ホールをあくまでも念頭に置きながら、曲の本質を鮮やかに把握しているのがみごとである。』 (小石忠男、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1 交響曲編』1985年)

 『円熟期のクーベリックならではの風格豊かで滋味深いモーツァルトである。クーベリックは、60年代前半にモーツァルトの交響曲を数曲録音していたが、バイエルン放送響との演奏は、よりゆったりと構えが大きく、しかも細部まで円熟した表現を美しい節度と余裕を持って徹底させている。オーケストラの豊かで落ち着いた響きが、そうした演奏にいっそうシンフォニックで手厚い魅力を加えている。(・・・)第41番「ジュピター」のいかにも自然に音楽を運んで気宇の大きな演奏は、中でも素晴らしい。』 (歌崎和彦、『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全・交響曲編』 2000年)

 『バイエルン放送響の首席を退いてから録音されたモーツァルトの後期6大交響曲集は、まさにクーベリックの巨匠たる所以を示した名演である。オリジナル楽器による小編成の演奏が高く評価されるようになった今でも、ここに聴かれる古典美と豊かに息づいた表情、そこから導き出される感銘の深さは、クーベリックの演奏経験の総決算と呼ぶにふさわしいものである。』 福本健、『クラシック不滅の名盤1000』、2007年)

     





■収録曲
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
1. 第1楽章: アレグロ・コン・スピーリト
2. 第2楽章: アンダンテ
3. 第3楽章: メヌエット
4. 第4楽章: フィナーレ。プレスト
交響曲第40番ト短調K.550
5. 第1楽章: モルト・アレグロ
6. 第2楽章: アンダンテ
7. 第3楽章: メヌエット。アレグレット
8. 第4楽章: フィナーレ。アレグロ・アッサイ
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
9. 第1楽章: アレグロ・ヴィヴァーチェ
10. 第2楽章: アンダンテ・カンタービレ
11. 第3楽章: メヌエット。アレグレット
12. 第4楽章: フィナーレ。モルト・アレグロ


< 演 奏 >
指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団

[録音]
1980年6月8日(第41番)、6月9日(第35番)
10月17日&18日(第40番)、ミュンヘン、ヘルクレスザール
[日本盤LP初出] 75AC-1302〜04
(1981年11月/「モーツァルト:後期6大交響曲集」として)
[オリジナルレコーディング/プロデューサー]
デイヴィッド・モットレイ&フリードリヒ・ヴェルツ(第35番)
デイヴィッド・モットレイ(第40番&第41番)
[オリジナルレコーディング/エンジニア]
マイク・ロス=トレヴァー&マルティン・ヴェール
[SACDプロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)
[SACDリマスタリング・エンジニア] 杉本一家
(ビクタークリエイティブメディア株式会社 マスタリングセンター)
[SACDオーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説] 諸石幸生 他
[企画協力] 東京電化株式会社
[企画/販売] エソテリック株式会社