SACD ハイブリッド

アバドの下で

「21世紀を志向するオーケストラ」へと変容を重ねていく

ベルリン・フィルの姿を克明に記録したドキュメント。   

 
ブラームス:交響曲全集 他

ハイドンの主題による変奏曲 作品 56a

大学祝典序曲 作品 80

悲劇的序曲 作品 81

クラウディオ・アバド(指揮)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(3枚組)

価格:10,833円(税別)
ESSG-90192/94[SACD Hybrid]
DSD MASTERING
Super Audio CD層:2チャンネル・ステレオ[マルチなし]
美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用

12月20日発売予定、予約受付中!



■アバド+ベルリン・フィルの貴重な遺産を初めてリマスター  

 

1990年、ヘルベルト・フォン・カラヤンの後を継いで

ベルリン・フィルの芸術監督となったクラウディオ・ アバド( 1933 - 2014 )。

 

アバドは惜しくも 2014 年 1 月 20 日、 80 歳で亡くなりましたが、

 2002 年までの 12 年間にわたる在任期間中に、ベルリン・フィルを、

カ ラヤン時代にはなかった透明感のあるサウンドを持ち、

バロックから同時代作品にいたる多様な音楽に柔軟に対応できる

機能的なアンサンブルへと鮮やかに脱皮させました。

 

ドイツ・グラモフォンとソニー・クラシカルに残されたこのコンビによる数多くのレ コーディングは、

いずれも 20 世紀末のオーケストラ芸術の精髄ともいうべき高い水準を誇っており、

すでにこのシリーズでも 1995 年と 1997 年のジルヴェスター・コンサートのライヴ録音をご紹介してまいりました。

今回は、 1988 年から 91 年にかけてデジタル録音された「ブラームス:交響曲全集 」を、

発売以来初めての本格的なリマスターを行い、

世界で初めて Super Audio CD ハイブリッド化いたします 。

 




LP 時代から定評があったアバド+ベルリン・フィルのブラームス     

 

アバドとベルリン・フィルによるブラームス録音は、

アナログLP時代に、アバドが 4 つのオーケストラを 振り分けたブラームスの交響曲全集および

管弦楽曲集(=ドイツ・グラモフォン創立 75 周年企画でも ありました)の一環として制作された

セレナード第 2 番・大学祝典序曲( 1967 年)と交響曲第 2 番( 1970 年)という 2 枚分の録音があり、

若々しい覇 気に満ちたアバドの気概を受け止めたベルリン・フィルの溌 剌とした演奏ぶりで、

初出以降も長らく廉価盤として親しまれていました。

 

その後 1981 年にセレナード 第 1 番( DG )、 1986 年にブレンデルとのピアノ協奏曲第 1 番( Philips )、

 1987 年にミンツとのヴァイオリ ン協奏曲と大学祝典序曲( DG )が録音され、

いずれも好評をもって迎えられ、アバドとベルリン・フィルによる

本格的なブラームス録音プロジェクトのニーズが高まった

 1988 年 9 月、文字通り満を持して交響 曲全集の第 1 弾となる第 2 番が録音されたのでした 。

 





カ ラヤン時代末期からスタートした全集録音     

 

アバドがブラームスの交響曲第 2 番を録音したこの 1988 年 9 月は、

ちょうど 1955 年以来終身芸術監 督の任にあったカラヤンと、

ベルリン・フィルの間の亀裂が決定的となっていた時期にあたり、

この年の 大晦日のジルヴェスター・コンサートでの共演を最後に両者は決裂、

カラヤンは 1989 年 4 月に芸術監 督を辞任します。

 

さらに、アバドの第 2 番の録音の翌月、 1988 年 10 月に行われた、

カラヤンとベルリ ン・フィルにとっては結果として最後となったセッションでは、

このコンビ 3 度目となるブラームスの 交響 曲全集の完結編として第 3 番・第 4 番の 2 曲が収録されました。

つまり結果として、ベルリン・フィルの 新旧指揮者がブラームスの交響曲の録音で

オーヴァーラップするという形になったわけです 。

 

 




アバドの首席指揮者就任を寿ぐ形で全集が完結     

 

1989 年 4 月のカラヤンの辞任によってベルリン・フィルは後継者探しに乗り出すことになり、

同年 8 月 のカラヤン死去の翌月に、アバドは再びベルリン・フィルに客演し、

全集第 2 弾として交響曲第 3 番と 悲劇的序曲を録音しています。

 

アバドがベルリン・フィルの首席指揮者に就任したのはその翌年、

1990 年 9 月のことで、このコンビによる最初の演奏会( 9 月 4 日・ 5 日)の

メインプログラムとして取り上げられたのがブラームスの交響曲第 1 番でした。

 

その演奏会の直後にセッションで録音されたのが当 全集第 3 弾となった第 1 番で、

いわばアバドとベルリン・フィルという二つの強固な個性がポジティヴな 高揚感の中で

ぶつかりあって重量感と情熱とを兼ね備えた稀有の名演が生み出されました。

そして翌 1991 年 9 月、改修中だったフィルハーモニーの代わりに使われていた

シャウシュピールハウス(現コン ツェルトハウス)の大ホールで第 4 番が収録され、

交響曲全集が完結したのでした 。

 

 




カラヤンからアバドへと移り変わるベルリン・フィルの姿を刻印     

 

結果として、このブラームスの交響曲全集は、

ベルリン・フィルが長年馴染んだカラヤンの軛を離れ、

より若いアバドと共に新たな道を踏み出した時期に録音されたことになります。

 

カラヤン時代の威風 堂々と進む重量級の巨大戦艦のような趣きをたたえた演奏から、

サウンドに軽快さと明るさを加え、繊 細さが増し、一人一人のプレイヤーの個性を際立たせ、

作品に合わせて柔軟に演奏スタイルを変える ことが出来るオーケストラを志向してゆく

ベルリン・フィルの姿を音として刻印した貴重なドキュメントでも あります

(それが真の意味で実現するのは 2000 年に完成したベートーヴェンの交響曲全集でした) 。

 



最高の状態での Super Audio CD ハイブリッド化が実現      

 

その変化は録音されたサウンドにもはっきりと 表れています。

1988 年の交響曲第 2 番は、近 めのマイクセッティングにより、

暗く厚みのある 弦楽セクションのどっしりとしたピラミッド型のサ ウンドを土台にして、

木管と金管が明滅しつつ 花を添える趣があります。

 

特にチェロとコントラ バスの重厚な響きは、カラヤン時代のト レード マークで、

ベルリン・フィル・サウンドの根幹をな していたことがよくわかります。

 

1989 年の第 3 番、 1990 年の第 1 番と進んでいくにしたがって、

エ ンジニアによってより空間性と広がりのあるサウ ンド・イメージが追及され、

オーケストラのサウンド自体も明るさと晴れやかさを増し、

やや弦偏重だったバランスも変化していきます。

 

そして 1991 年の第 4 番は、フィルハーモニーよりも小ぶりで、構造も異なるシューボックス型で、

残響も多い シャウシュピールハウスで収録されているため、柔和な面持ちさえ湛えた響きが耳に残るほどです。

 

ア バドの盟友だったライナー・ブロックの後を継ぐ形で

アバドの録音を全面的に担当したクリストファー・ オールダーのプロデュースのもと、

ベテランのギュンター・ヘルマンス、その次の世代のクラウス・ヒーマ ンという名手が、

こうしたオーケストラのサウンドの変化を手に取るように克明に記録しています。

 

もとも とが優秀なデジタル録音であり発売以来特にリマスターが施されたことはなかったため、

今回は初めての DSD リマスタリングとなります。

 

今回の Super Audio CD ハイブリッド化に当たっては、

これまで同様、 使用するマスターテープの選定から、最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、

妥協を排した作業が行われています。特に DSD マスタリングにあたっては、

DA コンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、

入念に調整された ESOTERIC の最高級機材を投入、

また MEXCEL ケーブルを惜しげ もなく使用することで、

オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができまし た 。

 

 

 



「この全集はアバドがベルリン・フィルを自分の楽器にしてゆく闘いの記録だ」     

 

「交響曲第 1 番は、見事というしかない成果で聴き手を圧倒してしまう。

それはまず演奏に注ぎ込まれる情熱によって確認され、アバドがまさに熱く沸騰した姿を見せていて驚かされる。

次に響きの深みと アンサンブルの緻密さが素晴らしく、さすがにベルリン・フィルの深化を堪能させる。

またアバドならで はの抒情性と劇性とが見事な采配によって演奏全体を構築しており、

味わいの豊かさも無類である。 この演奏を前にすると

多くの CD は色褪せてしまうのではないかと心配されるほどである。」

 (最新 版 クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編(上) 2015 年)

 

「交響曲第 2 番は、細部まで彫琢された完璧なフォルムのなか、音楽が弾け、ほとばしり、流動し、

作品の晴朗な雰囲気と淀みない旋律美を見事に表出している。

続く BPO 首席就任直後の録音の第 1 番は、曲想の違いはあるものの、

アバドらしからぬドイツ風の強固な合奏が意表を突く。

この全集はアバドがベルリン・フィルを自分の楽器にしてゆく闘いの記録だ。

この闘いから、奏者たちの自発性を重 んじながら全体を緻密かつ動態的に

まとめあげる画期的なアバドの指揮芸術が完成に向かっ てゆ く。」

(最新版 クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編(上) 2015 年)

 

「(交響曲第 2 番は)カラヤンがベルリン・フィルを辞する直前の録音。

当時の BPO の持ち味を生かしながら、アバドは自らの音楽を堂々と奏でている。

弦の厚みのある響きは現在のこのオーケストラから は聴くことが出来ないもの。

当時の BPO との相性は極めて良好で、この演奏を聴くとアバドが後継者 に選ばれたことがよくわかる。」

 ( 『 ONTOMO MOOK クラシック不滅の名盤 1000 』、 2007 年)

 



■収録曲

 

ヨハネス・ブラームス

DISC 1

交響曲 第 1 番 ハ短調 作品 68

[1] 第 1 楽章: ウン・ポコ・ソステヌート〜アレグロ

 [2] 第 2 楽章: アンダンテ・ソステヌート

[3] 第 3 楽章: ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ

 [4] 第 4 楽章: アダージョ〜ピウ・アンダンテ〜アレグロ・ノン・トロッポ、マ・コン・ブリオ

 

 [5] 大学祝典序曲 作品 80

 

 [6] 悲劇的序曲 作品 81

 

DISC 2

交響曲 第 2 番 ニ長調 作品 73

 [1] 第 1 楽章:アレグロ・ノン・トロッポ

[2] 第 2 楽章:アダージョ・ノン・トロッポ〜リステッソ・ テンポ、マ・グラツィオーソ

[3] 第 3 楽章:アレグレット・グラツィオーソ(クワジ・アンダンティーノ)〜プレスト・マ・ノン・アッサイ〜テンポ・プリモ

[4] 第 4 楽章:アレグロ・コン・スピーリト

 

ハイドンの主題による変奏曲 作品 56a

 [5] 聖アントニーのコラール(アンダンテ)

[6] 第 1 変奏(ポコ・ピウ・アニマート)

 [7] 第 2 変奏(ピウ・ヴィヴァーチェ)

 [8] 第 3 変奏(コン・モート)

 [9] 第 4 変奏(アンダンテ・コン・モート)

 [10] 第 5 変奏(ヴィヴァーチェ)

 [11] 第 6 変奏(ヴィヴァー チェ)

 [12] 第 7 変奏(グラツィオーソ)

 [13] 第 8 変奏(プレスト・ノン・トロッポ)

 [14] フィナーレ(アンダンテ)

 

DISC 3

 交響曲 第 3 番 へ 長調 作品 90

 [1] 第 1 楽章:アレグロ・コン・ブリオ

 [2] 第 2 楽章:アンダンテ

 [3] 第 3 楽章:ポコ・アレグレット

 [4] 第 4 楽章:アレグロ

 

交響曲 第 4 番 ホ短調 作品 98

 [5] 第 1 楽章:アレグロ・ノン・トロッポ

[6] 第 2 楽章:アンダンテ・モデラート

[7] 第 3 楽章:アレグロ・ジョコーソ

 [8] 第 4 楽章:アレグロ・エネルジーコ・エ・パッシオナート〜ピウ・アレグロ

 

 [録音] 1987 年 9 月(大学祝典序曲)、

1988 年 9 月(交響曲第 2 番)、 1989 年 9 月(交響曲第 3 番、悲劇的序曲)、 1990 年 9 月(交響曲第 1番)、

 1990 年 11 月(ハイドン変奏曲)、ベルリン、フィルハーモニー 、 1991 年 9 月、ベルリン、

 シャウシュピールハウス

 

 [初出]

大学祝典序曲 423 617 - 2 ( 1989 年)

交響曲第 2 番 427 643 - 2 ( 1989 年)

交響曲第 3 番、悲劇的序曲 429765 - 2 ( 1990 年)

交響曲第 1 番 431 790 - 2 ( 1991 年)

交響曲第 4 番、ハイドン変奏曲 435 34 9 - 2 ( 1992 年)

 

[日本盤初出]

大学祝典序曲 F32G20314 (1989 年 2 月 25 日 )

交響曲第 2 番 F00G20477 (1990 年 2 月 25 日 )

交響曲第 3 番、悲劇的序曲 POCG1059 (1990 年 12 月 21 日 )

交響曲第 1 番 POCG1475 (1991 年 12 月 21 日 )

交響曲第 4 番、ハイドン変奏曲 POCG1476 (1991 年 12 月 21 日 )

 

[オリジナル・レコーディング] [エクゼクティヴ・プロデューサー]

クリストファー・オールダー(交響曲第 1 番・第 3 番・第 4 番、ハイドン変奏曲、 大学祝典 序曲)、

ギュンター・ブレースト(交響曲第 2 番)、ギュンター・ブレースト / スティーヴン・ポール博士(悲劇的序曲)

 

[レコーディング・プロデューサー] クリストファー・オールダー

[バランス・エンジニア] ギュンター・ヘルマンス(交響曲第 2 番・第 3 番、大学祝典序曲)、

クラウス・ヒーマン(ハイドン変 奏曲、交響曲第 1 番・第 4 番)、ヴォルフガング・ミットレーナー(悲劇的序曲)

 

 [ Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)

[ Super Audio CD リマスタリング・エ ンジニア] 杉本一家

( JVC マスタリングセンター ( 代官山スタジオ ) )

 [ Super Audio CD オーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)

 [解説] 諸石幸生 門馬直美

 [企画・販売] エソテリック株式会社

 [企画・協力] 東京電化株式会社